『ショート・ターム』予告編
世界の映画賞を総なめにし、世界各国で絶賛されている映画『ショート・ターム』の日本での上映が決定。2014年11月15日(土)から、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国でロードショー。
映画『ショート・ターム』はSXSW(サウスバイサウスウェスト)映画祭2013でのワールドプレミア以降、世界中で35もの映画賞を受賞し、延べ50もの映画賞にノミネートされた。映画レビューサイト「Rotten Tomatoes(ロッテントマト)」でも2013年No.1の実績を記録し、名実共に史上最高の評価を得ている。
映画では、ティーンエイジャーをケアする短期保護施設で働くグレイス(ブリー・ラーソン)と、同僚でボーイフレンドのメイソン(ジョン・ギャラ ガー・Jr)を主人公に、複雑な問題を抱えた子供達との関係性が繊細に描かれる。大切な人と共に明日を生きる喜びに気づかせてくれるような、温かな愛に包まれたヒューマン・ドラマの真骨頂だ。
監督・脚本は、日系3世で日本への造詣も深い新人監督デスティン・クレットン。主演を務めるブリー・ラーソンも、この作品で大ブレイク。インディペンデント映画のアカデミー賞「インディペンデント・スピリット・アワード」で主演女優賞にノミネートされるなど、次代を担うハリウッドの若手女優として一躍スターダムを駆け上った注目の女優だ。
監督・脚本 デスティン・クレットンにインタビュー
本作『ショート・ターム』の監督・脚本を手がけたデスティン・クレットン(Destin Cretton)は、ハワイのマウイ島で生まれ育ち、幼少期を過ごす。ポイント・ロマ・ナザレ派大学でコミュニケーション学を専攻し、その後はサンディエゴ州立大学で映画分野の修士号を取得。これまで短編映画4作で受賞経験があり、初の長編デビュー作『I AM NOT A HIPSTER』は2012年サンダンス映画祭でプレミア上映され、批評家たちに絶賛された。今回、日本で公開される『ショート・ターム』は彼にとっての長編2作目だ。
日本公開に先駆け、デスティン・クレットン(Destin Cretton)が来日。『ショート・ターム』の制作にまつわる話や、監督自身のこれまでについて聞いた。
そこで働き始めたのは、仕事がなかったからなんです。大学を卒業したあと5ヶ月ぐらい仕事がなく、友人が働いていた施設が唯一雇ってもらえた場所でした。私は保護施設がどういう場所なのか分からないまま働き始めたのですが、自分の経験は、映画でいうと新入りスタッフのネイトによく似ていました。不安でしたし、場違いのような気もしました。結局2年間そこで働いたのですが、最終的にその仕事が大好きになりました。
毎日そこで働くことは、難しかったです。朝起きて、何か誤ったことをしてしまうのではないかと不安でした。すでに傷ついている子供たちを、さらに傷つけるようなことを言ってしまうんじゃないかと。けれどその2年を通じて、私は大きく成長し、大切なことを学んだと感じています。例えば「謙虚さ」です。子供たちにとって良いリーダーというのは、上から見下すのではなくて、同じ立場、同じ目線に立ってあげるということです。
登場人物とシーンは、すべて現実にもとづいています。物語のテーマは、リサーチしたり、職場で働く人に話を聞いたりしました。
映画はフィクションですので、脚色はたくさんあります。映画の中には明らかにドラマティックになるシーンがありますよね。けれどその部分も、実際の保護施設やその人たちのリアルな気持ちに根付いていると思います。