難病と闘いながら将棋に全人生を賭けた天才棋士・村山聖の壮絶な生き様を描く映画『聖の青春』が、2016年11月19日(土)に公開される。原作は、大崎善生による同名のノンフィクション小説「聖の青春」。
幼少期より腎臓の難病・腎ネフローゼを患い、入退院を繰り返した村山聖。入院中に父が何気なく勧めた将棋に心を奪われた彼は、将棋の最高峰・名人位を獲る夢を抱いて、将棋の道をまっしぐらに突き進み始める。
100年に1人と言われる天才・羽生善治ら同世代の天才棋士たちとの死闘、彼を見守る師匠、そして彼を支える父と母の愛情。名人への夢半ばで倒れた“怪童”の壮絶な一生が、師弟愛、家族愛、そして羽生ら今も将棋界で活躍する仲間たちとの友情を通して描かれる。
主人公・村山聖を演じるのは、俳優・松山ケンイチ。自ら東京将棋会館に通いつめ、これまでにない驚異的な役作りで精神面、肉体面の両方から村山聖にアプローチ。人生を将棋に捧げた天才棋士役を熱演している。
また、聖の最大のライバルであり、松山自身が本作の“ヒロイン”であると語る羽生善治を演じるのは、東出昌大。聖を支えた師匠・森信雄役にはリリー・フランキー、母・村山トミ子役に竹下景子、弟弟子・江川役に染谷将太ら豪華キャスト陣が脇を固める。監督は、映画『宇宙兄弟』でヒットを飛ばした森義隆が務めた。
主題歌は秦 基博 「終わりのない空」を採用。サビには聖のその瞬間、瞬間にいのちを燃やし、全身全霊ぶつかっていくさま、そして、彼が手記に遺した「人間は悲しみ、苦しむために生まれた。それが人間の宿命であり、幸せだ。」という言葉から汲み取った想いを込めているという。人間の知の限界に挑戦し続けた村山聖の人生を、愛情豊かに描き出した本作に注目したい。
【作品情報】
『聖の青春』
公開時期:2016年11月19日(土)
キャスト:松山ケンイチ、東出昌大、染谷将太、安田 顕、柄本時生、北見敏之、筒井道隆、竹下景子、リリー・フランキーほか
原作:大崎善生(角川文庫/講談社文庫)
監督:森義隆『宇宙兄弟』『ひゃくはち』
脚本:向井康介『クローズEXPLODE』『リンダリンダリンダ』
【ストーリー】
1994年、大阪。路上に倒れていたひとりの青年が、
通りかかった男の手を借りて関西将棋会館の対局室に向かっていく。
彼の名は村山聖[さとし](松山ケンイチ)。現在七段、”西の怪童”と呼ばれる新世代のプロ棋士だ。
聖は幼少時より「ネフローゼ」という腎臓の難病を患っており、無理のきかない自らの重い身体と闘いながら、将棋界最高峰のタイトル「名人」を目指して快進撃を続けてきた。そんな聖の前に立ちはだかったのは、将棋界に旋風を巻き起こしていた同世代の天才棋士・羽生善治(東出昌大)。
すでに新名人となっていた羽生との初めての対局で、聖は必死に食らいついたものの、結局負かされてしまう。「先生。僕、東京行きます」どうしても生の側で将棋を指したいと思った聖は上京を希望し、相談を持ちかける。
先生とは「冴えんなあ」が口癖の師匠・森信雄(リリー・フランキー)だ。聖は15歳の頃から森に弟子入りし、自分の存在を柔らかく受け入れてくれる師匠を親同然に慕っていた。
体調に問題を抱える聖の上京を家族や仲間は反対したが、将棋に人生の全てを懸けてきた聖を心底理解している森は、彼の背中を押した。
東京。髪や爪は伸び放題、本やCDやゴミ袋で足の踏み場もなく散らかったアパートの部屋。酒を飲むと先輩連中にも食ってかかる聖に皆は呆れるが、同時にその強烈な個性と純粋さに魅了され、いつしか聖の周りには彼の情熱を支えてくれる仲間たちが集まっていた。その頃、羽生善治が前人未到のタイトル七冠を達成する。聖はさらに強く羽生を意識し、ライバルでありながら憧れの想いも抱く。そして一層将棋に没頭し、並み居る上位の先輩棋士たちを下して、いよいよ羽生を射程圏内に収めるようになる。
そんな折、聖の身体に癌が見つかった。「このまま将棋を指し続けると死ぬ」と医者は忠告。しかし聖は聞き入れず、将棋を指し続けると決意。
もう少しで名人への夢に手が届くところまで来ながら、彼の命の期限は刻一刻と迫っていた…。
©2016「聖の青春」製作委員会