映画『不能犯』が、2018年2月1日(木)に全国の劇場で公開される。「グランドジャンプ」にて連載中の同名漫画を原作に、主演に松坂桃李、ヒロインに沢尻エリカを迎え実写化。
原作の『不能犯』は、他人を殺害する目的で事件を起こしても誰もその犯行方法を立証出来ない、通称“不能犯”のプロフェッショナルである宇相吹正(うそぶきただし)の、驚異の手口と壮大な目的が描かれる新感覚サスペンス・エンタテイメントだ。
生まれも経歴も不詳、常にスタイリッシュなワインレッドのシャツに黒スーツをまとい、ある特別な能力で人の心を操る主人公・宇相吹正を演じるのが、若手演技派の旗手・松坂桃李。都会のど真ん中で次々と起きる変死事件の犯人であり、とある場所の電話ボックスに殺してほしい理由と連絡先を書いた紙を貼ると必ず引き受けてくれるという、妖艶なダークヒーロー役に挑戦する。
一方、宇相吹正と対決する正義に熱い女刑事のヒロイン・多田友子役には沢尻エリカ。原作では男性だが、主人公の妖艶な魅力を引き立てるために女性へ変更されたという複雑な役を、持ち前の姉御肌をもってイメージそのままに演じ切る。嘘と曲がったことが嫌い。口は悪いけども部下や改心した前科者に優しいところも。沢尻がアクションに初挑戦するという姿にも期待が高まる。
『不能犯』で初のダークヒーロとアクションに挑んだ松坂桃李と沢尻エリカ。役者としての演技の幅をますます広げる2人に、本作にかける思いについてインタビューを行った。
原作ファンの多い『不能犯』の実写版に挑むということで、今回松坂さんはどのように役柄と向き合いましたか。
松坂:漫画原作だと2パターンあると考えていて、そのキャラクターに役を思い切り寄せるか、寄せないかだと思うんです。今回は、役に寄せて演じてみました。僕は漫画が好きで読んでいるのですが、青年誌の場合、作者が実写を踏まえて漫画を描いていることもあるんです。『不能犯』は、おそらく役に寄せたほうが面白い作品になると感じました。
原作にはどのようなイメージを抱いていましたか。
松坂:1話完結型なので、すごくドラマ向きな作品だと感じました。次の展開が気になってしまう構成ですね。漫画『笑ゥせぇるすまん』に、現代の色を取り入れたような作品だと思います。
脚本を読んだ際に感じたことは?
松坂:漫画の可愛いらしい部分を切り落として、ダークな部分1色に染めたスタイルが、映画作品として、うまくいくのではないか、と感じました。現場に入る前には、監督から『ヒッチャー』というサスペンス映画を渡されて、作品の空気感や物語のテイストを参考にするようにとアドバイスを頂きました。
劇中では、ダークヒーロ・宇相吹役の不気味な笑顔が印象的でした。
松坂:あんなに口角を上げて笑ったのは、人生で初めてです(笑)人間は、あんなに口角が上がるんですね。鏡の前や家ではもちろん、クランクイン前にも練習して撮影に臨んでいます。
そうしているうちに、宇相吹がニターっと笑う理由が分かる気がしました。ターゲットが自分の誘いに思い通りに進んでいく瞬間を目の当たりにすると、「あ、確かにここでニタァーっと出るな」と、役を演じてみて気付いたんです。
人を死に導く宇相吹は、松坂さんにとってどういう男でしたか?
松坂:僕は、"人"という捉え方はしていないですね。欲を持った人の"現身"に近いものだと感じました。そういう人がいなくなれば、宇相吹の存在も消えてしまうのでは、とも考えています。なので、宇相吹からマインドコントロールを受けない(沢尻さんが演じられた)多田刑事と出会えたことは、希望を見出す意味があるのではないのでしょうか。
そんな宇相吹役の松坂さんは、沢尻さんの目にどのように映りましたか。
沢尻:まず、原作のキャラクターと松坂さんがそっくりで驚きました(笑)ただ現場では、松坂さんが完璧に役に入っていた為、近づきがたいオーラが漂い、本当に怖かったです。宇相吹は、不気味で、独特なキャラクターでしたからね。
現場のみんなや監督とご飯に行った際、初めて気さくに話せたので、「あ、よかった、人だった!」と安心しました(笑)
沢尻さんは、初となる刑事役でしたが、今回演じられていかがでしたか。
沢尻:アクションにずっと挑戦してみたかったので、刑事役を頂いた時はすごく嬉しかったです。ただ、原作を知った時に(私のキャラクターって)「男なの?」と驚きました(笑)
現場に入ると、想像以上に演技が難しくて本当に苦戦しました。例えば、簡単そうに思える手錠を掛けるシーンすら、全然動けない。そのシーンだけで何回も撮り直しましたね。それから、ナイフを刺す角度や位置を変えるだけでも、見え方が少しずつ変わるんです。それを動きの中で一緒にやっていくことが結構難しいので、色々と気を遣いました。