逆に、共演者の方と自ずと距離が近くなる恋愛作品に臨む上で、“気を付けていること”はありますか?
高橋:「恋愛映画だからこの距離感を保とう!」という考えはあまりないです。ただ大前提として、「嫌われたくない」とは思います(笑)共演者の方に嫌われながら恋愛映画に臨むのは精神的にキツイだろうと思うので、そうなりそうな場面にさしかかったら、きっと僕はある程度の距離を自分からとっていくと思います。
川口:たしかに嫌われていると知りながら、演じたくないですよね(笑)私も恋愛映画だからといって気を付けていることは特にないのですが、強いて言うならば“女子力アップ改革”。私は“恋をしている女の子”を演じるわけなので、少しでも綺麗に映りたいって思いました。なので『九月の恋と出会うまで』の撮影中も、こっそりジムとか通って、少しでも綺麗になれるように実は努力していました(笑)
高橋:この映画の川口さんは本当に可愛らしいですから。シャボン玉が飛んでくるシーンなど、ロマンチックなシチュエーションが多かったので、それがより川口さんの可愛さを引き立てていました。
川口:それは言い過ぎじゃないですか?高橋さん、もしかして私のことからかってます…?
高橋:なんでですか、褒めているだけなんですけれど(笑)
お2人のお話にも出ましたが、『九月の恋と出会うまで』は、タイムトリープといった要素もあるストーリーですよね。もし未来と過去選べるならお2人はどちらに行ってみたいですか?
高橋: 2年くらい前に戻りたいと思うときはあります。できるならば、当時の僕に向けて置手紙を残せたら。
最近ですね(笑)その理由は?
高橋:全部秘密です。あの時の自分に戻って咀嚼し直してみたいという気持ちがあります。これは後悔ではなくて。
川口さんはいかがでしょう?
川口:そうですね…どちらとも言えないですね…(笑)
高橋:僕もそう言えばよかった。
川口:あまり現実味が無いので…(笑)確かに未来も過去も気にはなりますけど。過去だって修正したい事もあるけれど、それは無理だから。考えたってしょうがないって思うんです。
高橋:そうしたら僕も先程の回答を変えます。過去に戻りたいと言いましたけれど、それは嘘です(笑)
では高橋さん、もう一度お願いします。(笑)
高橋:僕は、全てのことは「今」でしかないと思っているんです。未来も過去も、全く違う時間軸というわけではなくて、どちらも“今”という時間に内包されている。
具体的に言いますと?
高橋:例えば、未来について「こんな自分になれていたらいいな」という“理想像”を思い描く人は結構多いと思うんですが、結局は“今”という一点をどのようにして生きるかでその未来も変わっていくはず。そして“過去”についても、今の解釈次第で思い出を良くも悪くも捉えることが出来る。
過去や未来に想いを馳せて、センチメンタルになったりすることが、僕にはまるでないんです。結局すべては“今の僕”が作っていることだと思うので。
川口:同感。 “今”というこの瞬間は、皆平等に流れているから、私も今“自分だけができる”ことに集中して楽しんで生きていたい。もちろん全ての現状に満足することは難しいけれど、自分の中で感じた“ワクワク”の積み重ねが未来の自分を作っていくと思っています。
キャラクターをリアルに演じていく上で取り組んだ役作りはありますか?
高橋:他の作品でも共通していることですが、僕は“役作り”について特に意識をしていません。1つの作品の中には、作り込まれた美術セットや、監督の思い描く絵作りなどが存在するので、そこで僕が自主的に「こんなキャラクターに仕上げよう」と決定することではないと考えているんです。
心掛けていることは、制作スタッフの方々の声にきちんと耳を傾けて、僕が役柄を演じる上で“期待されていること”を理解すること。それを踏まえたうえで、自分の芝居に集中しようと努めています。
そのように心掛けるようになったのは何故でしょう?
高橋:「この役は高橋一生に任せてみよう」と思ってくださった以上、その方々の期待に応えるお芝居をすることが、僕にとっての最大限の敬意の示し方だと信じているからです。
今後挑戦してみたい役柄は?
高橋:どの作品でも、僕自身“やりたい役”を意識的に設定しないようにしているんです。演じたい役の目標を設定するということは、ある意味で“自分の限界”を決めてしまっていることでもあるように感じられて。役者としての自分の伸びしろを僕ひとりの想像力で押さえてしまわないようにしています。
川口:私は特定の役柄というよりは、様々な現場を経験して、俳優としてのふり幅を広げていきたいです。場数を踏むだけ、良いこと、そして悪いことも起こるかもしれないけれど、全て次の役柄の糧となるように学んでいきたいと思っています。そして私自身雑誌モデル出身ということもあるので、そこで培った“自分の見せ方”というのも、今後もっと自分の芝居に落とし込んでいければと感じています。
また、志織が引っ越してくる不思議なマンションの住人として、浜野謙太、中村優子が出演。志織の同じ職場で志織の相談相手でもある同僚役に川栄李奈、平野と志織の恋路に影響を与える役に古舘佑太郎、さらに物語が進むにつれ重要な鍵を握る人物としてミッキー・カーチスが出演する。
プロデューサーを務める星野恵は、自分より大切に想える相手と出逢うこと自体が奇跡であり、本当に人を想うってこういうことなんだと感銘を受け、『九月の恋と出会うまで』を映像化するに至ったそうだ。自分が一途に想える“本当に好きになれる人“を探している女性、自分を一途に想ってくれる人を探している女性、そんな全ての女性たちの欲求を満たす大人のラブストーリーを目指すという。
主題歌は、andropの楽曲「Koi」。登場人物たちの心象を思いながら書き下ろされた楽曲「Koi」が、温かくも切ない物語の世界観をより一層盛り上げる。
ちょっと不思議なマンションに引っ越してきた志織は、小説家志望の隣人平野と運命的に出会う。そして、新しい部屋で突然聞こえてきた不思議な声。「こちらは1年後の未来です。あなたに危険が迫っています!」それは強盗殺人にあうところだった志織を助けようと時空を越えて届いた、未来からの誰かの声だった。相談を受けた平野は、助かった志織に<タイムパラドクス>が生じることに気付く。それは一年後、志織の存在が消えることを意味していた。必死に自分を助けようとする平野に惹かれていく志織だったが、平野との別れは近づいていた。
「九月の恋と出会うまで」
公開時期:2019年3月1日(金)全国ロードショー
主演:高橋一生、川口春奈 ※W主演
出演:浜野謙太、中村優子、川栄李奈、古舘佑太郎、ミッキー・カーチス
主題歌:androp「Koi」
原作:松尾由美『九月の恋と出会うまで』双葉文庫
監督:山本透
©松尾由美/双葉社 ©2019 映画「九月の恋と出会うまで」製作委員会