映画『さよならくちびる』が、2019年5月31日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー。
『さよならくちびる』で描かれるのは、夢を手放す旅にでた3人の若者たち。それはただの音楽映画ではない、“音楽”が紡ぐロードムービーだ。レオはシマに恋を、シマはハルに思いを寄せ、そしてハルはレオに友情を越えた感情を抱いていた。もつれた糸のように絡まりあう3人の気持ち…。
インディーズの音楽シーンで話題を集めた2人組女性バンド“ハルレオ”。しかしながらその人気に影がさし、にわかに話題になっただけの“ハルレオ”は、互いにそれぞれの道に歩み出すため解散を決める。最後に…と始めた全国巡回の解散ツアー。そこには、“ハルレオ”だけでなく、バンドのサポートをする付き人・シマの姿があった。
主演は小松菜奈と門脇麦。女性ギター・デュオ「ハルレオ」のレオとハルをそれぞれ演じる。
レオ役小松菜奈は、『溺れるナイフ』『恋は雨上がりのように』などで注目を集めてきた。一方ハル役の門脇麦は『愛の渦』、NHK朝の連続テレビ小説『まれ』などに出演してきた。日本映画界で引っ張りだこの若手俳優だが、2人の本格的な共演は初めて。
ハルに恋する付き人シマには『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』の成田凌が出演するなど若手の注目俳優が揃う。監督は『月光の囁き』『害虫』『どろろ』『抱きしめたい-真実の物語-』と、数々の作品を世に送り出してきた塩田明彦監督で、キャリア初音楽映画。
公開に先駆け、シマ役を演じた成田凌にインタビューを実施した。出演作が続々と公開される注目の俳優・成田凌。デビュー当時から現在までの道のりや俳優という仕事の醍醐味を聞くことで、自然体な彼の魅力を垣間見ることができた。
成田さんは『さよならくちびる』をどのような物語だと捉えましたか?
興味深い愛の描き方をしているなと思いました。女2人、男1人っていう映画はなかなか無いんです、実は。この三角関係って珍しい。いろんな方向に矢印が向いていて面白い愛の形だなと感じました。
『さよならくちびる』は“愛”だけでなく、“青春”もテーマに据えています。
演じている時はあまり青春については意識していませんでした。映画を見る人にとっては青春かもしれないし、後から振り返ってみたら青春なのかもしれないですけど。僕が演じたシマという役は、一度夢を諦めた人間なんです。この作品は、いろんな人たちがいろんなことを諦めたり、頑張ったりを繰り返している、そういうことを描いた物語だなと。
成田さんも同じように夢を諦めた経験がありますか?
小さい時はサッカー選手になりたいとか言ってましたが、いつからか無理だなあと思い始めて。みんな一回は何かになりたくて、でも無理だなとか違うなと思って辞めた経験はあるんじゃないでしょうか。オリンピック選手みたいに子供の頃からの夢をそのまま現実にしているすごい人たちもいますけど、そもそも、夢が明確にある人の方が珍しいかもしれない。僕自身も学生時代に特定の職業につきたい、という強い気持ちはありませんでした。
成田さんにも明確な夢はなかった。
はい。僕だけじゃなく早くから夢を追ってる人って少ないんじゃないかなと思います。生きてたら、こう急にばちっとハマるものがあるというか。僕はやると決めたら一生懸命やるタイプなので、今は俳優の仕事がとても楽しい。
俳優になりたいと思ったきっかけは何でしたか?
きっかけはスカウトでした。まあ目立ちたがり屋だったんで(笑)。あと美容師の勉強をしていた頃だったんですが、本当にこれでいいのかって疑問に感じている部分もあって。それで、自分は裏方より表だと感じるようになりました。“世に出る”ってことに関しては当時の僕からしたらモデルも俳優も同じようなものだったので、それこそ何もわからないまま、メンズノンノのオーディションを受けて。とにかく世に出る、そしたら何かが起きる。その時はそう考えていました。
デビュー当時の印象的な思い出はありますか?
俳優になりたての頃、すごく小さい役だったんですけど、現場でぶつぶつとセリフの練習をしていたんです。そしたらスタッフの人に注意されて。その時は正直「いつか、見返すぞ」って思いましたね(笑)。
見返してやる、という気持ちが俳優をするモチベーションになっていたと。
そうです。他にも、1Kに4人で住んでいたことなどもあったのでそこから抜け出したいとか。最初は、そういう悔しい気持ちが俳優を続けていくモチベーションになりました。自分としては現状でもまだまだ納得はしていないので、行けるところまで行きたいです。