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トップショップ

でもデザイナーにも、それぞれの個性やクリエイティビティがあると思います。

もちろん。お客様が何を求めているかを気にかけることはとても重要ですが、同時に次のトレンド予測をしていくこともデザイナーとして怠ってはいけません。だから日々、様々なところからインスピレーションを求めるようにしています。

例えば、この夏のロンドンオリンピックの開催はデザイナーたちにスポーツウェアへの関心を高めましたし、他にもヴィンテージショップや街にいる人々のスタイル、人気ブロガーのスタイルなどにもアンテナを張っています。

こうしたいろいろなモノがミックスされて、デザイナーのインスピレーションになりますし、人々も同じようにこうした物から普段今何を着たいかというアイデアを得ていると思います。

30人のデザイナーたちにもそれぞれのインスピレーションがありますので、各シーズンの始めに皆で意見を出し合います。そして、寄せ集められたアイディアをどのようにトレンドに組み込み、どう表現するかを話し合います。その後、お客様のニーズについて考えます。

トップショップにはいろいろなテイストのお客様が来店されますから、幅広く対応できるように考えています。カジュアルでかわいくてスポーティーなデザインはいつも置くようにしていますし、流行の最先端のアイテムから定番のデザインまで揃えています。

次に、デザインが出来上がる行程について聞かせてください。

前の話の続きになりますが、まず、デザインチームでトレンドを設定します。それが小売部門など内部関係者に伝えられ、設定されたトレンドに合わせてそれぞれの担当が動き出します。トップショップも トップマンもアイテムごとに担当デザイナーは分かれているのですが、例えばスカートのデザイナーであれば、挙げられている全てのトレンドに合わせたスカートをいくつもデザインします。

それからまた、それぞれの担当デザイナーがデザインをまた持ち寄って、全体として初めに設定したトレンドテーマに合ったコレクションになっているかを考察します。このとき、6ヶ月先を見越して考察しなくていけません。どれが売れるか、色の選択はこれでよいのかとか。店頭に商品が並ぶのはここからだいたい4~6ヶ月先になります。

でももしこの時点で、現場にいるショップスタッフから「こういう商品がヒットしてるからもっと生産してほしい」といった声が聞こえれば、もっと早く生産できるように調整します。

例えばトップショップの2012-13年秋冬のデザインテーマをどう考えたのか教えてください。

この秋冬はミリタリーの雰囲気がくると感じました。ミリタリーテイストは人気で、もともと毎シーズンありますが、この秋冬はその勢いが一層濃くなるだろうな、と思ったのです。

ミリタリーのエッセンスはニットにもドレスにもいろいろなアイテムに取り入れられますし、シャツに加えればひねりを効かせたデザインになります。カーキも可愛い。他にも、ボーイフレンドから借りちゃった、みたいなオーバーサイズのアウターを上から羽織るスタイルもいいですよね。

それから、シアー感(透明感)のある生地など、未来的な雰囲気の素材にも注目しています。一方、60年代のテイストを少しシンプルにしてデザインに落とし込んだりもしました。トップショップでは、様々なスタイルを持つお客様に対応するため、いつも4、5つのトレンドを打ち出しますが、ミリタリーと60年代をこの秋冬の2大トレンドとして設定しています。

トップショップ

トップショップにはトップショップ ユニークなどコレクションラインもありますが、他のラインとはどのように差別化していますか?

例えば「トップショップ ユニーク(TOPSHOP UNIQUE)」はメインラインと同じデザインチームが手掛けますので、メインラインから切り離されているわけではありません。 

トップショップ ユニーク(TOPSHOP UNIQUE)

ロンドンファッションウィークで、他のラインに先駆けて発表されるユニークは、他の全てのラインのデザインを考える行程のキックオフになります。ですので、ユニークのデザインのアイディアが今後のトップショップのすべてのデザインを決定付ける影響力を持っています。

ユニークはランウェイで披露するということもあって、デザインから生地に至るまで妥協しません。それぞれのデザイナーたちには、よりクリエイティブに、より自由に表現してもらっています。そこがメインラインと異なるところです。

カジュアルなデザインが特徴の、「ブティック(Boutique)」ラインでは、トレンド満載のメインラインとは違って、何シーズンも着続けられるようなベーシックなアイテムを提供しています。トレンドの先端をゆくイメージのトップショップとしては珍しいラインですよね。

外部のブランド(デザイナー)とのコラボレーションも多いですよね

私のオフィスはデザインスタジオの中にあるのですが、毎日のようにスタッフやコラボレーション相手であるデザイナーたちとどのようなプロジェクトをするべきか話し合っています。そのために、デザイナーたちはいつも私のオフィスを出入りしていますよ。

デザインパートナーはどうやって決めますか?

その人の仕事が気に入って、時世に合っていると思えば起用します。

NEWGENがきっかけとしては大きかったですね。彼らの驚くような才能を見られる素敵な機会だし、今後もサポートしていきたいと思っています。デザイナーのルイーズ・グレイには、最初、コスメの方をデザインしてもらいましたが、彼女の眼を引くような色使いが良くて、後に服にも取り入れることにしました。

アシシュ ジョナサン サンダース
デザイナーとのコラボレーションライン Designers for TOPSHOP参加している
アシシュ(左)とジョナサン サンダースの2012-13年秋冬コレクションより

実際にトップショップ/トップマンの“ショップに来てもらうこと”、その体験を大切にしていると聞きました。

そうです。私自身も実際にお店に足を運びます。特にロンドンにある旗艦店は、トップショップ最大の店舗で、街のアイコン的存在。そこは人々にとって買い物だけでなく、午後の楽しいおしゃべりをする場にもなっています。

店内でDJイベントなど、ショップ内の企画がユニークですよね。

本当にいろいろとユニークな試みをしていて、コスメは全て試しても貰えるし、学生には常に10%割引を実施しています。写真撮影イベントもよく開催しますし、お客様の専属スタイリストがショッピングのお手伝いをする、予約制の「パーソナルフリーショッパーサービス」も実施しています。ロンドンファッションウィークの時期には店内で映画を上映したりもしていますよ。

ほかにも、ショップに特別なスペースがあって、そこで人気ブロガーのスージー・ロウ(バブル)などをゲストに招いてマネキンにスタイリングしてもらうこともあります。おそらく次は若物に人気のセレブ、ピーチズ・ゲルドフ!

いずれにしても様々な企画をしていて、ブロガー達を呼んでトークショーをすることもあるんですよ。

ファッション以外の事にも挑戦にしていますね。

トップショップは様々挑戦をしていますが、それでも第1条件としてはファッションにパワーのあるブランドでなくてはいけません。何をするにしてもファッションに関連していないといけませんし、ファッションの観点からのアプローチをしています。

例えばメイクアップラインは、 ファッションをデザインするようにコスメもデザインできたら面白いと思ってスタートしました。ですから、ファッションのトレンド色を取り入れたりしています。メイクアップはスタイルを完成させる上で欠かせないもの。だからもっと力を入れていくつもりです。実際、トップショップの提案において、洋服とコスメは素晴らしい相乗効果をもたらしています。

最後に今後のヴィジョンやトップショップのブランドバリューについてお伺いします。デザインする側からブランドバリューについてどう考えていますか?

やはりファッション界で世界的な影響力を持つブランドであるということでしょうか。トップショップにとって、”fun(楽しむこと)”がブランドの重要なDNAとなっています。遊び心に溢れた個性的なスタイルをどんどん提供していくことで、自分のスタイルを貫く個性を持つ人たちを応援していきたいです。

次のページは、トップマンのデザインディレクター、ゴードン・リチャードソンにインタビュー

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