クリスチャンダダ(CHRISTIAN DADA)は、2019-20年秋冬メンズコレクションを、2019年1月20日(日)にフランス・パリで発表した。
今季のテーマは「SIGNAL NOISE」。デザイナーの森川マサノリが多大な影響を受けた、日本のアーティストグループ・ダムタイプの代表作「S/N」を題材にコレクションを展開。性・人種・国籍・セクシュアリティ・身体障害といったあらゆる境界線の歪みや偏見がなくなることを願う、という「S/N」の表現に呼応し、混沌とした世界の中に一筋の光を見出していくようなピースが登場した。
サーチライトが照射するランウェイに現れたのは、オールブラックのスタイリング。テープなラインが施されたロングコートやジャケット、パンツは、ダークな雰囲気ながらもどこかスポーティーだ。メンズウェアにもウィメンズウェアにも施されたテープのラインは、身体的な差はあっても内面的には差異がないことを暗示している。ダウンのフード付きストールは、身体の前に交差させたスタイリング。身軽でアクティブなムードを描き出す。
シルエットは、ショルダーやウエストを強調したスタイルと、ストリートテイストのオーバーシルエットに二極化され、コレクションに緩急を生み出した。それはまるで、人間の多様性を表しているかのようだ。テーラードジャケットには肩パッドを施し、シャープなシルエットを形作る。ダブルのジャケットには、光沢感のある糸で、自由を象徴する羽根のモチーフを刺繍。シャープで上品なシルエットと相まって、繊細な華やかさを演出する。
一方、白のステッチを施したオーバーコートやブラックのダウンコート、淡いピンクのシャツなどはゆったりとしたフォルムで、ラフな表情を描き出す。加えて、しなやかなドレープを刻む、ワイドパンツも登場した。
ニットウェアは、目を引くようなデザインを揃えた。テレビのカラーバーを彷彿させるモチーフや、動きのあるフリンジをあしらったピースは、着こなしに華やかさをもたらす。頭からかぶるとタートルネックの付け襟とストールを兼ねたアクセサリーになるニットウェアは、モードなテイストを強めるアクセントとしてスタイリングに用いられた。
人体のサーモグラフィーをコラージュしたプリントや、直接的なメッセージを織り込んだ、ノイジーなジャカードなどは、人工的でカオスな雰囲気を漂わせている。
また、コレクション終盤には、妖艶な光を放つアシッドグリーンを用いたルックが登場。黒地のフリースにはケミカルな空気感でタイダイが施されている。また、アシッドグリーン1色にカラーリングしたウールのチェスターコートやショートジャケットは、色の強さを感じさせるアイテム。造形はベーシックだが、パワフルな色彩によりアグレッシブな存在感を放っている。