ダンヒル(dunhill)は、2019-20年秋冬メンズコレクションを、2019年1月20日(日)に、フランス・パリで発表した。
今シーズンは、“二面性”を軸に真の洗練とは何かを追求。伝統と破壊、フィールドとストリート、形式化された要素と新たな概念といった、英国ファッション文化の二面性を落とし込んだ。特に、80年代の英国スローン族に象徴される、カントリーの要素を取り入れたシティスタイルに着目し、日本独特のクラシカルなボリュームも取り入れながら、スタイリッシュなルックを提案した。
印象を残すのは、上質な光沢感を放つ素材と、リュクスなゆとりのあるシルエット。ハリのあるウール地で仕立てたロングコートは、深いブラックの色彩がシックな落ち着きを演出し、大きめな襟がモードな雰囲気を放つ。シルクファイユやモアレシルクなど、通常イヴニングウェアに使用される素材は、フィールドジャケットやカジュアルテーラリングのジャケットに採用。また、和服のような合わせのジャケットや、緩やかなセンタープレスのパンツも、気品あふれる表情を見せる。
その他、ドレープを描くネイビーのトレンチコートや、艶やかなグレーのレザーで仕立てたテーラードジャケット、ガンクラブチェックのステンカラーコート、身幅・肩幅共に大きめなフォルムのグレンチェックのジャケットといったアイテムは、アイテムそのものはクラシカルながら洗練された表情が特徴的。素材の上質感と、適度に緊張から解放されたシルエットが絶妙なバランスで相まって、コンテンポラリーなスタイリッシュさを作りだしている。
ボタンやファスナーなども含め、表面上にほとんど装飾を施していないのも特徴的。襟を立ててきたテーラードジャケットや、レザーのコート、ブラウスは、留め具の部分が布で覆われ、見えないようになっている。唯一目に留まるのは、ダブルのジャケットやコートの金ボタンだが、表面がマットに仕上げられ、形も平面的な作りになっているため、服のシンプルな表情を崩すことなく配されている。プレーンでミニマルなデザインからは、研ぎ澄まされた美しさが感じられる。
温かみのあるコーデュロイは、様々なカラーリングで登場。ブラウンのロングジャケットにカーキのインナー、ネイビーのパンツと、全てコーデュロイ素材で統一したスタイリングは、独自の起毛感と素材のツヤ、流れるようなカッティングが相まって優雅な印象だ。マットな質感のベロアは、アウターの襟に部分的に使われることで、奥行きのある上品さをプラスする。