展覧会「高畑勲展―日本のアニメーションに遺したもの Takahata Isao : A Legend in Japanese Animation」が、福岡市美術館にて開催する。会期は、2021年4月29日(木・祝)から7月18日(日)まで。
高畑勲は、日本人なら誰もが知っている『アルプスの少女ハイジ』(1974年)や『赤毛のアン』(1979年)などのTV名作シリーズ、『火垂るの墓』(1988年)などを手掛けてきたアニメーション映画監督。また、日常生活を丹念に描くという新たな表現領域の開拓や、あらゆる芸術ジャンルの知識を生かした表現スタイルの探究に関わるなど、戦後の日本のアニメーションの発展に大きく影響を与えた。
彼の功績は今のアニメーションの礎となっている。他の制作者にも大きな影響を与えたことは言わずもがな、 2018年、この世を去った今でも彼の多大な功績は日本のアニメーション業界に受け継がれ続けている。
「高畑勲展―日本のアニメーションに遺したもの」は、戦後の日本のアニメーションの基礎を築いた彼が現代に遺したもの、その業績を総覧する初の回顧展。絵を描かない高畑の“演出”に注目し、多数の未公開資料も紹介しながら、その多面的な作品世界の秘密を紐解いていく。2019年には一足先に東京国立近代美術館でも開催され、好評を博した。
高畑勲の出発点は、初の長編演出(監督)を務めた『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968年)。その後は『アルプスの少女ハイジ』(1974年)、『母を訪ねて三千里』(1976年)といったTV名作シリーズを手掛けた。毎週1話作るという時間的制約の中で、日常生活を丹念に描写した豊かな人間ドラマは如何に演出されたのか。展覧会では、宮崎駿らとのチームワークを絵コンテなどの資料から検証し、その演出の秘密に迫る。
スタジオジブリ参画後の高畑勲は、日本を舞台にした作品に特化し、『火垂るの墓』(1988年)や『おもひでぽろぽろ』(1991年)の中で日本の風土や庶民の生活のリアリティーを描いた。本展では、作中で用いられている、日本人の戦中・戦後の経験を現代と地続きのものとして語りなおす話法に注目した展示を行う。
高畑勲は、新しい表現スタイルを常に追い求めていた革新者でもあった。遺作『かぐや姫の物語』(2013年)ではデジタル技術を駆使し、手描きの線を生かした水彩画風の描法に挑戦。従来の方法とは一線を画した革新的な表現を生み出した。展覧会では、高畑勲の新しい表現方法の根底にある美術の知識から、新しいイメージを組み立てるプロセスを探っていく。
【詳細】
展覧会「高畑勲展―日本のアニメーションに遺したもの」
期間:2021年4月29日(木・祝)~7月18日(日)
会場:福岡市美術館 2階特別展示室
住所:福岡県福岡市中央区大濠公園1-6
開館時間:9:30~17:30(入館は閉館30分前まで)
※7月の金・土曜日は20:00まで開館
休館日:毎週月曜日
※ただし5月3日(月・祝)は開館し、5月6日(木)は休館
観覧料:一般 1,500 円、高大生 1,000 円、小中生 600 円(夜間割引チケットなどもあり)
※身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳の提示者とその介護者 1 名、および特定疾患医療受給者証
特定医療費(指定難病)受給者証、先天性血液凝固因子障害等医療受給者証、小児慢性特定疾病医療受給者証の提示者および未就学児は観覧無料
【問い合わせ先】
TEL:092-714-6051(福岡市美術館)