12歳の頃にはファッションに夢中になっていた。面白いことに、私がファッションの世界で働いている背景には、そんな幼少期の経験があるのです。興味のあるファッション業界に入ることはとても自然な流れでした。
Q:10代の頃、憧れていたブランドはありますか?
アメリカのスケートボードブランドやサーフブランドに夢中でした。大好きだったのは「リーフ(REEF)」!インターネットのない時代だったので、雑誌やカタログが出るのを楽しみに待っていました。ステューシー(STÜSSY)やコンバース(CONVERSE)も好きでしたね。
Q:なぜ、スケート&サーフカルチャーに興味があったのでしょうか。
自由な精神と若さを感じられたから。自由さ、オープンなマインドをスケートボードやサーフィンといったスポーツから感じるんです。その個性が好き。
同時に、これらのスポーツは音楽と関係性がある。スケートボーダーたちが好むのは、ちょっとエレクトリックで少しメロディーのあるサウンド。僕は音楽が好きだから、そこが素晴らしいと思うんです。
僕自身もスケートボードをしていて、その延長でスノーボードも始めて続けています。いまだにスノーボードをしているイタリア人は、僕一人じゃないかな(笑)。90年代、スノーボードがヨーロッパで流行って、たくさんの人が挑戦していたのですが、今ではヨーロッパ、特にイタリアでは誰もスノーボードを続けていないんじゃないかと思います。
Q:スケート&サーフカルチャーの影響は、いまのMSGMに反映されていますか?
もちろんです。見てみてください、このタイダイ模様、プリント、アシッドカラーも。この時代の物や感覚は僕の中に染み付いているんです。このフルーツモチーフは、1990年代の「フルーツオブザルーム(FRUIT OF THE LOOM)」のロゴが元になっています。デニムも90年代からのヒントで、当時のシルエットを取り入れているんです。
いまのファッション業界のトレンドは、90年代ファッションじゃないかなと思っているのですが、MSGMにとって90年代のカルチャーは、トレンドではなくて一つの要素だと捉えています。
Q:MSGMはどういうコンセプトのもとスタートしたのでしょうか。
立ち上げ当初、洋服に関するコンセプトは明確。アシッドカラーとビビッドなプリントの2つ。スタート時は、鮮やかなカラーとプリントだけを使っていました。
この10年で、コンセプトに大きな変化はありませんが、ショップをオープンしたり、ビジネスを進めていく中で、ブラック、ベージュ、キャメル、ブルーネイビー、グレーといった色も使い始めました。例えばですけど、(僕が今日履いているパンツ)このカラーは先月自分のために作ったカラー。これまでだったら使用していない色味ですが、いまはこういうベーシックなカラーも使用しています。これは進化だね。
Q:MSGMの強みとは?
リアルクローズであること。実際に購入でき日常で着られるファッションを届けている。そして、他のカルチャーとのミックス。音楽や映画など、違うジャンルのカルチャーとミックスしているのがMSGMのDNAであると思います。
僕が思うというよりは、周りの人々が言ってくれるのは「MSGMってエネルギーのあるブランドだよね」って。ポジティブで前向きでいいバイブス。特に、若い世代のMSGMのファンは、これを感じていると思います。
他にも、クールで素敵なブランドはありますが、僕はMSGMは前向きでポジティブなエネルギーを持っているところが個性に近いものだと思う。これは、多くの人々が僕に教えてくれたことです。
Q:デザインする上で大切にしているポイントは?
僕はイタリアで洋服を作ることを続けています。シンプルなロゴ入りの白いTシャツも、MSGMはイタリアで作っているんです。これは、イタリアの人々にとって重要なことです。最近の若手ブランドが、ポルトガルやトルコ、スペイン、台湾、中国などの外国で生産を行っていると思うのですが、イタリアブランドは、国内で生産することが自国への貢献に繋がるんです。
また、もっとMSGMを手の届きやすいブランドにしたいと思っていて。正しい価格設定は重要です。トレンチコートやドレスなどは1000ユーロであってもよいですが、バックパック、帽子、Tシャツなどは、手の届きやすいプライスでありたい。