■『砕け散るところを見せてあげる』は、‟ヒーロー”が1つの大切なキーワードでした。中川さんが考えるヒーロー像を教えてください。
本当のヒーローって、‟自分がヒーローだ!”と自覚している人は、あまりいないんじゃないかなと思うんです。ある人の行動によって深く影響を受けたり、救われたと誰かが感じた瞬間、ヒーローは生まれているものなのかもしれない。つまりは、気付かないうちに、皆誰しも‟誰かのヒーロー”になり得ているのではないかと。
■映画の中では、中川さん演じる清澄が、いじめを受けたヒロイン・玻璃にとってのヒーローでした。
取材を受けているうちに気付いた事ですが、清澄は確かに正義感の強い青年でしたが、彼自身も最初から‟ヒーローになろう”というよりも、むしろ無自覚な人間だったのだと思います。‟この子(玻璃)の為に、変わりたい”って心から思う瞬間があって、そのあとの行動が結果として玻璃にとってのヒーローに結びついたのではないでしょうか。僕が演じた際も、‟清澄がヒーローだ“ということは、特に意識をしていなかったと思います。
■では、中川さんにとってのヒーローを教えてください。
僕にとってのヒーローは、スパイダーマン。(笑)子供の頃からずっと好きで、スパイダーマンになりたくて仕方なかった。壁を登りたいとか、空を飛びたいっていう純粋な憧れなんですけどね。幼稚園の頃は、お父さんに買ってもらったスパイダーマンのマスクをかぶって登校したこともあります。もちろん先生からは、凄く怒られましたが(笑)
高校卒業と同時に、本格的な俳優活動の道を選択した中川大志。インタビューのラストは、子役時代から俳優としてのキャリアを積み上げている中川に、仕事に掛ける想いを伺った。
■本格的に、俳優業で生きていこうと決めた時期はいつでしょう?
おそらく中2ぐらい。大人になっても、自分は俳優を続けるだろうなという感覚が当時から芽生えていました。
というか逆に、当時から現場にいる時間が、ありがたいことに日常の殆どを占めていたので、それ以外の選択肢が思いつかなかったのかもしれないです。それでも子供の頃から今まで、俳優をやめたいと思ったことは一度もないです。自分の中で一番好きなことを、俳優以外であまりやったことがないので、他と比べようがないのですが、本当にこれ以上に楽しいと思える仕事はないと感じています。
■そんな子役からキャリアを重ねてきた中川さんだからこそ、他の方にはない‟強み”だと思うものは?
分からないです。(笑)キャリアを積むごとに、逆にカメラの前で自分をさらけ出すことの難しさの方が日々感じていますが…。強いていうならば、技術的なことを抜きにした‟感覚”ですかね。今自分に何が必要なのか、人から何が求められているのか? というモノは、小さい頃から現場を経験した分、鍛えられているのかもしれません。
■そんな中川さんにとって、俳優業の魅力とは?
僕昔から、誰かを喜ばせたり、驚かせることが凄く好きなんです。その根本的な僕の性質を壮大な仕事として繋げられたのが、俳優業。画面の先で見てくれている人たちを、喜ばせることに魅力を感じています。
そしてこのエンターテイメントの世界って、沢山の人が集まって、時間と労力を費やし、ひとつの壮大なモノ作品を作るじゃないですか。その一員に自分がなれることにもすごくワクワクします。これからも沢山の人に感動や驚きを届けていきたいです。
映画『砕け散るところを見せてあげる』
公開時期:2021年4月9日(金)新宿ピカデリー、イオンシネマ他にて全国公開
※2020年5月8日(金)に公開予定だったが延期となった。
出演:中川大志、石井杏奈、井之脇海、清原果耶、松井愛莉、北村匠海、矢田亜希子、木野花、原田知世、堤真一
監督:SABU
原作:竹宮ゆゆこ『砕け散るところを見せてあげる』(新潮文庫nex)
主題歌:琉衣「Day dream ~白昼夢~」(LDH Records)
映倫:PG12指定作品