金沢の国立工芸館(東京国立近代美術館工芸館)では、特別展「国立工芸館石川移転開館記念展I 工の芸術─素材・わざ・風土」を、2020年10月25日(日)から2021年1月11日(月・祝)まで開催する。
日本の工芸品は、古くより四季折々の自然の姿を意匠に取り入れてきたと同時に、それ自体が自然の素材からできている。それぞれの土地の素材と生活に寄り添ってきた工芸は、地方ごとに異なる多様な発展を辿ってきた。
特別展「国立工芸館石川移転開館記念展I 工の芸術─素材・わざ・風土」では、国立工芸館のコレクションから厳選した日本の近代工芸作品を通して、各地が生活のなかで育んできた「風土」を紹介する展覧会だ。近代化が進むなかで、工芸家がどのように“素材”、あるいは“自然”に向き合ってきたのか、そして時代とともに自然をどのような“イメージ”で捉え直し、土地と“もの”の関係を紡いできたのかを探る。
板谷波山の《氷華彩磁唐花文花瓶》や富本憲吉の《色絵染付菱小格子文長手箱》──工芸作品の名前は長くて近寄り難い印象を与える。しかしそれは、自然から取り出した「素材」に、どれだけの「わざ」が積み上げられてきたのかを物語るものだ。本展では“名前”、そしてそこに込められた「わざ」に着目して工芸作品を紹介する。
自然の素材を使って作られる日本の工芸作品は、花鳥風月といった多彩な自然の姿を意匠に取り込んできた。会場では、重要文化財に指定される鈴木長吉《十二の鷹》や志村ふくみの《紬織着物 鈴虫》などを通して、「超絶技巧」の明治時代からハイテクノロジーを駆使する現代に至るまで、工芸家たちが「自然のイメージ」をどのように捉え直してきたのかを探る。
さらに、「もの」が「場所」とともに紡ぎだす関係性にも焦点をあてる。富本憲吉の《色絵草花文角鉢》や鈴木苧紡庵の《越後上布 市松草花文着尺》など、日本の各土地ゆかりの人と作品を展示し、「場所」「もの」「人」の関係を探る。
特別展「国立工芸館石川移転開館記念展I 工の芸術─素材・わざ・風土」
※来館日時指定・定員制を導入予定(詳細は公式ウェブを確認、電話予約不可)
会期:2020年10月25日(日)〜2021年1月11日(月・祝)
会場:国立工芸館(東京国立近代美術館工芸館)
住所:石川県金沢市出羽町3-2
休館日:月曜日(10月26日(月)、11月23日(月・祝)、1月11日(月・祝)は開館)、11月24日(火)、年末年始(12月28日(月)〜1月1日(金・祝))
開館時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)
観覧料:一般 500円、大学生 300円
※高校生以下および18歳未満、障害者手帳の所持者と付添1名までは無料
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)