ターク(TAAKK)の2021年春夏コレクションが、2020年10月12日(月)、東京の新宿御苑 大温室にて発表された。
一面のガラスを通して、日の光が植物に差し込む──新宿御苑の大温室を会場に発表された今季のターク。軽やかな素材感と鮮やかな色彩を基調に提示されたウェアの数々は、光と風に揺らめく草木、そして花々の姿を取り込んだかのようだ。
軽やかな素材にのせられた爽やかなライトグリーンは、風と光を身に受ける植物の様子を鏡に映すように想起させる。シャツやテーラードジャケットには、先シーズンに続いてフロント部分を二重に重ねるデザインを駆使しつつも、歩みにのせて揺らめく生地感はあくまで軽やかだ。一方でメタルのパーツを随所に配することで、それはかとなくルードな雰囲気も漂わせた。
色彩を引き立てる無地に加えて多用されたのは、植物の姿。シースルー素材に熱帯雨林の植物のシルエットをあしらったシャツやMA-1ブルゾンは、いきいきと繁る植物がもつ繊細な表情を見事に引き出している。また、ブルゾンやショートパンツなどには、大胆な花の姿を色鮮やかな色彩でもって配している。
生地感は重さを感じさせないかのように軽やかだ。トレンチコートはベーシックな表情ながら、生地は透けるように薄く、歩みに合わせて軽快に揺らめく。また、いずれのアイテムもややゆったりとしたシルエットを基調として、軽やかな印象を引き立てている。
ショーの後半には、前半までの爽やかな色彩は抑えられ、暗く沈んだ色彩、そしてレザーパンツといった重厚な素材を使用したウェアが現れる。ダメージ加工を施したジャケットやパンツは、時折メタルパーツで仄めかされてきたルードなニュアンスが、いよいよ露わになった印象をも与える。
また、パンツにタックインすることでコントラストの効いたシルエットに着こなしたジャケットには、闇夜に沈んだような黒い地から艶やかにその姿を現わすかのように、鮮やかな花々をあしらった。
──ふと、大温室のガラスを見上げると、空は暮れなずもうとしている。軽やかなライトグリーンから始まり、ジャケットやシャツに用いたマゼンタのグラデーションを経て、暗く沈んだ色合いへ。それは、静かに闇夜に沈みゆく、熱帯雨林の植物の魅惑を彷彿させてやまないのであった。