ダブレット(doublet)は、2021年春夏コレクションを2020年10月12日(月)に東京・渋谷のロアラブッシュにて発表。楽天が日本発のブランドを支援するプロジェクト「バイアール(by R)」の一環として、ランウェイショーが開催された。
“A VERY MERRY UNBIRTHDAY FOR YOU”と題し、歴史ある西洋館の中で行われた今回のショー。館内のテーブルに着くと皿の上にはVRゴーグルが用意されており、開始の合図とともに臨場感あふれるVR空間での“ハロウィンパーティー”に導かれた。西洋館の至るところにはゾンビがいて、目が合うと地面を這ってでもこちらの方に向かってくる。
やっとゾンビだらけの空間から出たと思ったら、洋館の外に待ち構えていたカラフルなクマも実はゾンビだった。これは悪い夢なのかそれとも……?と考える間もなくVRムービーが終了し、ショーがスタート。物々しい重低音とともに始まったランウェイショー。登場するモデルは全員特殊メイクによってゾンビに変身しており、2021年春夏コレクションの新作を中心に、アーカイブアイテムと組み合わせたピースが展開された。
大きく肩をドロップさせたテーラードジャケットや、肩幅を広くとったオーバーシルエットのジャケット、包帯のようにも見える構築的な白のカットソードレス、シワ感のあるレザージャケットなどは、いずれもオーセンティックなファッションアイテムでありながら、“いかにもゾンビが着ていそう”なゾンビの定番衣装のようにも思えてくる。
また、作業服にエプロンを着けたブッチャーや、ギャルソンエプロンにネクタイを締めたレストランのウェイターを思わせるコスプレ風スタイリングも登場。さながら“仮装パーティー”とファッションを掛け合わせたようなルックが続く。
場内にはホラーなムードが漂いつつも、どこか賑やかさも感じるのはデザインに散りばめられた遊び心によるものだろう。今季の鍵を握る“クマ”を象ったカギ針編みニットのキャップとパンツは着ぐるみのように愛らしい佇まいを演出する。Tシャツのポケットからは小さなクマのぬいぐるみが顔を出し、合わせたショートパンツのサイドリブにもクマのチャーミングなイラストをオン。
さらに、つやつやの光沢を放つシャツには、テディベアやケーキなどを描いたメルヘンなプリントを総柄で配し、ストライプシャツにはハートのバルーンモチーフがあしらわれている。加えて、「ウーバーイーツ(Uber Eats)」を彷彿させるデザインの小さなショルダーバッグや、「アマゾン(Amazon)」のパッケージのようなリュックなど、思わず笑みがこぼれてしまうようなユーモアあふれるバッグも登場した。
ダブレットのデザイナー・井野将之は、フィジカルとデジタルを組み合わせたショーの形を模索する上で、VRとランウェイショーを組み合わせた今回のショー形式を考案。また、「渋谷で例年行われるハロウィンパーティーが中止となり、従来ならハロウィンで発散されていたであろう人々のフラストレーションをこのショーで少しでも発散できれば」という意図があったと話す。平日の“とある1日”をあえて選び、“何でもない日のハロウィンパーティー”非日常的な楽しさを表現した。