それは意外です。そこまで親しくなったきっかけは?
北村:ある時共演したドラマで、撮影帰りのバス停がたまたま一緒だったんです。そこで身の上話というか、世間話みたいな会話から始まったんですよね。そこから気付けば仲良くなっていて、そのドラマの撮影中はずっと2人で帰ってたんじゃないかな。
伊藤:その時匠海と話していて、なんか“地元感”があったんですよね。実際自分の地元の友達とも仲良くしてくれるし、気取らないというか。DISH//のボーカルとしてMステで歌ったりしてるのに、いい意味で芸能人感ゼロなんですよ。(笑)
仲良くなるに連れて分かってきた、お互いの共通点はありましたか?
北村:ファッションや音楽の趣味もそうですけど、昔から2人で言い合ってきた“主演張れるように頑張ろうぜ!”みたいな仕事に向ける情熱は共通してると思います。
特に駆け出しの頃は、同世代の俳優と比べても、僕たちの知名度って決して高くなくて。だからこそ、そのハードルを越えたかったし、お互いにがむしゃらに仕事をしてこれたのかな。同じレールの上を走っている感覚。
伊藤:俳優業に対してがむしゃらな点は確かに共通してます。それから僕たちは、生まれたままの“自分のルーツ”を大切にしていきたいっていう想いも共通している。
例えばどんなに名前が売れようが、凄い番組や作品に出演しようが、何かに染まることなく“自分が自分である感覚”を大事にしています。この世界にいながら芸能人という枠や肩書に縛られたくないと思っているんです。
親友の間柄で同業という関係。お互いをライバル視することもあるかと思います。
北村:僕の感覚だと、ライバルじゃなくて“戦友”なんです。一緒に時代を作っていかなきゃいけないっていう感覚が、常にある気がします。ちょっと大それたこと言ってますけど。
伊藤:うん。その感覚は僕も同じです。
北村:演技の世界って、一見バチバチしているような関係の俳優同士に見えても、実際蓋を開けてみると、各々の俳優の力が合わさって成立してるものだと思うんです。
もちろん健太郎がやっている役を自分がやりたかったなとか悔しく思う時はあります。でも、どこかで出し抜いてやろうとかそういう気持ちは一切ないです。
伊藤:同感。僕も匠海の姿を近くで見ていると、こんなに強い仲間が傍にいるんだって、何か安心感のようなものもある。僕も匠海と同じく、僕らで一つの時代を築き上げていきたいなという想いがありますね。
そんな信頼と熱い想いを抱き合うお2人ですが、今後どのような俳優を目指していきたいですか。
北村:今バンドと俳優の2つで活動している僕のスタイルを“2足の草鞋”と呼んで頂くことが多いのですが、そのスタイルは変えずに、むしろ“何足でも草鞋履いてやる精神”でこれからもやっていきたいです。
演技に限らない表現であったりモノ作りにも興味があるので、監督でもカメラマンでも出来ることなら何でもトライしていきたいです。
伊藤:元々夢とか目標とか明確に立てるタイプじゃないので、僕の中で基本的に目指す俳優像って無いんです。あるのは、ただ誰かの記憶に残ったまま死にたいということだけ。
人が本当に死ぬのは誰の記憶からも消えてしまう時だと考えていて、良い印象でも悪い印象でも、とにかく人の記憶に残る存在でありたい。その気持ちが目指すべき俳優像の部分にも自然と繋がるとも思いますし、これからも生きる上での軸になっていくのかなと思います。
映画『とんかつDJアゲ太郎』
公開日:2020年10月30日(金)
監督・脚本:二宮健
脚本協力:喜安浩平
出演:北村匠海、山本舞香、伊藤健太郎、加藤諒、浅香航大、栗原類、前原滉、池間夏海、片岡礼子、ブラザートム、伊勢谷友介、パパイヤ鈴木、伊藤沙莉、内田朝陽、山谷花純、斎藤陽一郎
プロデューサー:小原一隆
配給:ワーナー・ブラサーズ映画
©イーピャオ・小山ゆうじろう/集英社・映画「とんかつDJアゲ太郎」製作委員会