金沢の国立工芸館(東京国立近代美術館工芸館)では、特別展「国立工芸館石川移転開館記念展II うちにこんなのあったら展 気になるデザイン×工芸コレクション」を、2021年1月30日(土)から4月15日(木)まで開催する。
「もしも自分の家にこんな家具や器があったならば」──このように想像することは、日常で目にしたものを「使ってみたい」と感じるきっかけのひとつだ。そしてこの想像は同時に、快適で彩りのある生活を夢見る作り手が新しいものを生み出す際の原動力でもあるのだ。
特別展「国立工芸館石川移転開館記念展II うちにこんなのあったら展 気になるデザイン×工芸コレクション」では、そうした“空想”の視点から、国立工芸館所蔵の工芸作品とデザイン作品を紹介。インダストリアルデザイナーの先駆者クリストファー・ドレッサー、「色絵磁器」で人間国宝に認定された富本憲吉、そして20世紀を代表する陶芸家ルーシー・リーの3人を中心に、約150点の作品を展示する。
英国における最初のインダストリアルデザイナーとも言われるクリストファー・ドレッサーは、家具や陶磁器、染織品など、デザイナーとして多方面に活躍。1876年には日本を訪れ各地の古社寺や工芸品を視察し、そこで得られた知識とデザイン理念は、西洋における日本美術への関心の高まりにも大きな影響を与えたとされる。
本展では、《卵立て》や《ガーデン・チェア》といったドレッサーの作品だけでなく、エミール・ガレのガラスやピエール・シャローの家具など、ヨーロッパのデザイン運動の流れを象徴する作品もあわせて展示する。
富本憲吉は、既存の模様によらない独自の図案を創作し、工業化が進むなかで早くから量産陶器の製造を模索するなど、陶芸家としてだけでなく、デザイナーとしての先駆的な実践も評価されつつある。会場では、《赤字金彩梅模様碗、皿》や《白磁珈琲器》といった富本の作品に加え、芹沢銈介の型絵染や田中一光のポスターなども目にすることができる。
陶芸家のルーシー・リーは、空に向かってまっすぐ開く花のような独特のプロポーションと繊細なマチエールを特徴とする鉢や花器などを手掛けた。本展では、《コーヒー・セット》といった器だけでなく、陶製のネックレスなど、同館が所蔵するルーシー・リーの作品12点をすべて展示。また、これらの作品に関連して、ルネ・ラリックの《ブローチ》やバーナード・リーチの《ティーセット》なども紹介する。
特別展「国立工芸館石川移転開館記念展II うちにこんなのあったら展 気になるデザイン×工芸コレクション」
※来館日時指定・定員制を導入予定(詳細は公式ウェブを確認)
会期:2021年1月30日(土)〜4月15日(木)
会場:国立工芸館(東京国立近代美術館工芸館)
住所:石川県金沢市出羽町3-2
休館日:月曜日(3月29日、4月5日、4月12日は開館)
開館時間:9:30~17:30(入館は閉館30分前まで)
観覧料:一般 500円、大学生 300円
※高校生以下および18歳未満、障害者手帳の所持者と付添者1名までは無料
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)