特別展「日常のあわい」が、金沢21世紀美術館にて、2021年9月26日(日)まで開催される。なお、7月31(土)から9月30日(木)までのあいだは臨時休館であり、同展は会期の延長なく9月26日(日)で閉幕となる。
「日常」を日常たらしめるものとは何だろう。生活におけるささやかな習慣や日課。家族や地域で共有されている約束ごと。あるいは、とくだん変化のない時間の流れや風景。しかし、当たり前に繰り返されている日々の営みでさえ、人や家族によって異なり、個々別々の日常が紡がれているのだ。
他方で、「日常」として慣れ親しんだ暮らしや風景は、自然災害といったさまざまな出来事によって刻々と姿を変えていく。特別展「日常のあわい」では、そうした「日常」に着目した作品を通して、「日常」と「非日常」の“あわい=間”にある「現在(いま)」を見つめ直す。
本展では、7組11人の日本人作家を、1部屋1作家・ユニットごとに紹介。青木陵子+伊藤存、岩崎貴宏、小森はるか+瀬尾夏美、小山田徹+小山田香月、下道基行、髙田安規子・政子、竹村京らが出品し、生活裡のささやかな創造性に光をあてる作品や、心の機微を捉えた作品、そして変化を続ける日常に着目した作品を展示する。
下道基行は、戦争の遺構や津波で流れ着いた巨石など、日常のなかに潜む異質なものに着目し、リサーチを重ねて、写真や映像、文章などで発表している。本展では、義母が手近にあるものを蓋として代用する行為を追った《ははのふた》など、日常において意識されていない異質な風景や、人びとが無意識のうちに行っている創造的な行為をめぐる作品を展示する。
一方で竹村京は、記憶や風景などの忘れられていくものや、変化していくもの、日用品のように壊れてしまうものを、“縫う”という行為を通して留めおくことを試みている。本展では、傷つき、あるいは壊れた日用品を半透明の布に包み、破損した部分に刺繍を施す「修復シリーズ」から、蛍光色に光るシルク糸を用いた作品を出品。また、期間中に不定期で作品を修復する様子も公開する。
さらに、東日本大震災を機に活動を開始し、東北の風景の変化を見つめ、そこに暮らす人びとの語りに耳を傾け、それを記録して伝える作品を手がけてきた小森はるか+瀬尾夏美や、構造物がもつ実際のスケールを縮小し、質感や強度の異なる素材に置換した作品を制作する岩崎貴宏らも作品を出品。
また、異なる作家同士の“ゆるやかな”つながりにも注目したい。
特別展「日常のあわい」
会期:2021年4月29日(木・祝)〜9月26日(日)
※5月12日(水)〜6月14日(月)、7月31日(土)〜9月30日(木)は休止(会期の延長はなく閉幕)
※休止対象期間中の日時指定のウェブチケット購入者の払い戻し方法については、購入時にWebketで登録したメールアドレスに後日美術館より連絡
会場:金沢21世紀美術館 展示室7〜12・14
住所:石川県金沢市広坂1-2-1
開館時間:10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで)
※観覧券販売は閉場30分前まで
休館日:月曜日(5月3日(月・祝)は開場)、5月6日(木)、休止期間
観覧料:一般 1,200円(1,000円)、大学生 800円(600円)、小中高生 400円(300円)、65歳以上 1,000円
※( )内は団体料金(20名以上)およびウェブチケット料金
※本展観覧券で入場当日に限り、同時開催中のコレクション展「スケールス」(2020年10月17日(土)〜2021年5月9日(日))および「Inner Cosmology」(2021年5月29日(土)〜11月3日(水・祝))にも入場可
※日付指定ウェブチケットは、4月1日(木)10:00より、美術館ウェブサイトにて販売
■出品作家
青木陵子+伊藤存、岩崎貴宏、小森はるか+瀬尾夏美、小山田徹+小山田香月、下道基行、髙田安規子・政子、竹村京
【問い合わせ先】
金沢21世紀美術館
TEL:076-220-2800