展覧会「サーリネンとフィンランドの美しい建築展」が、東京のパナソニック汐留美術館にて、2021年7月3日(土)から9月20日(月)まで開催。その後、11月6日(土)から12月19日(日)まで、福島のいわき市立美術館に巡回する。
エリエル・サーリネンは、フィンランドのモダニズムの原点を築いたことで知られる建築家だ。1900年パリ万国博覧会フィンランド館の建築で好評を博してデビューを果たし、アール・ヌーヴォーの影響を漂わせながらも民族の文化的ルーツを表現した「ナショナル・ロマンティシズム」の建築を数多く設計。1923年に渡米してからは、同じく建築家となった息子のエーロ・サーリネンとともに活動した。
展覧会「サーリネンとフィンランドの美しい建築展」では、渡米までのフィンランド時代に焦点を合わせて、図面、写真、家具や生活のデザインといった作品資料を展示。多彩な文化を受容しつつ民族のルーツを追求した初期のスタイルから、フィンランドの自然や風土に根ざした独自のモダニズムまで、エリエル・サーリネンのデザインの仕事を多角的に紹介する。
1900年パリ万国博覧会で、サーリネンは共同設計事務所の仲間ゲセリウスとリンドグレンとともに、中世の教会のような外観のフィンランド館を設計し、一躍注目を浴びた。第1章では、このフィンランド館のCGと新規制作模型に加えて、民族叙事詩『カレワラ』に着想を得たポホヨラ保険会社ビルディングや、ナショナル・ロマンティシズムの代表的作品であるフィンランド国立博物館といった初期の大作も紹介する。
1902年、サーリネンら3人は、ヘルシンキ西方の湖畔に設計事務所兼共同生活の場としてヴィトレスクを作った。ヴィトレスクは自然のなかの暮らしという理想を体現するのみならず、建築と暮らしのデザインが一体となった作品でもあった。第2章では、メインルームや寝室で用いられていたサーリネンのデザインによる家具を展示するとともに、ダイニングルームの空間も再現する。
サーリネンは20世紀前半の近代化の流れと手を携えつつ、住宅や商業施設、公共建築、そして都市のデザインへと活動の幅を広げていった。住居建築に着目する第3章では、ウーロフスボリ集合住宅・商業ビルディングや個人の邸宅を、暮らしを彩る家具とともに紹介。一方で第4章では、民族性と公共性が融合するヘルシンキ中央駅の駅舎や、国会議事堂計画案といった国家プロジェクトも紹介する。
1922年、シカゴ・トリビューン本社ビルの国際設計競技で、サーリネンは2等を獲得。翌年にアメリカに渡り、モダニズムの潮流の中で新たなデザインを模索した。その後、自ら設計した美術学校で教鞭を執るほか、 息子エーロとともに設立した建築事務所で設計にも励んだ。本展のエピローグでは、サーリネン渡米後の作品を紹介するとともに、アメリカを代表する建築家のひとりとなるエーロ・サーリネンが手がけた家具も展示する。
展覧会「サーリネンとフィンランドの美しい建築展」
会期:2021年7月3日(土)~9月20日(月)
会場:パナソニック汐留美術館
住所:東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック 東京汐留ビル 4階
開館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)
※8月6日(金)、9月3日(金)は夜間開館のため20:00まで(入館は19:30まで)
休館日:水曜日、8月10日(火)~13日(金)
入館料:一般 800円、65歳以上 700円、大学生 600円、中・高校生 400円、小学生以下 無料
※障がい者手帳の提示者および付添者1名までは無料
※予約サイトより来館日時指定予約が可能(詳細は美術館ホームページを確認)
■巡回情報
・いわき市立美術館
会期:2021年11月6日(土)〜12月19日(日)
住所:福島県いわき市平字堂根町4-4
※画像写真の無断転載を禁ずる。
【問い合わせ先】
パナソニック汐留美術館
TEL:050-5541-8600 (NTTハローダイヤル)