■アクションシーンだけで観客を惹きつけるという技術は、非常に高度な技術でもあると思うのですが、実際現場ではどのようなアプローチをされていたのでしょう?
「最終章」に関して述べると、僕たちは過去3部作で培ってきたアクションシーンの“データ”を持っていたので、「こう見せたほうが、カッコよくなる」とか「この角度のほうが、迫力があるように見える」といった、最良の魅せ方をすでに知っていたんですよね。
それは同時に、“ぬるいアクション”がどのようなものかも把握していたので、それをやるぐらいなら、尺はいらないと。一発で敵を倒すくらいの潔の良さも交えながら、本当に良いと思えるアクションをチーム全体で作り上げました。そういった意味でも、「最終章」のアクションシーンは、間違いなく今までで一番見ごたえのある仕上がりとなっていると思います。
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ラストは、佐藤健の俳優業に関してインタビュー。現在は実力派俳優として、多方面から人気を集める佐藤が歩んできた軌跡、そして俳優業の魅力に関して話を伺った。
■2006年放送の深夜ドラマで役者デビューを果たした佐藤さんですが、その当時から俳優として本格的な活動を決意されていたのでしょうか?
いえ、全くしてなかったです。剣心役がそうであったように、運よく仕事をいただけたので、一生懸命やると。当時は、そのことしか考えていなくて、その先の未来なんて頭に思い浮かびませんでした。
■それでは、人生の転機となった作品は?
実は、どこかのタイミングで「よし俳優として一生やっていこう!」と決意した瞬間
って、僕にはないんですよね。でもデビュー後、TV作品『仮面ライダー電王』を1年間やらせていただいた際に、「このまま仕事出来たら楽しいのかもしれない」と、頭をよぎったことはありました。撮影の時期に高校卒業を迎えて、大学にも進学しないと決めました。俳優という選択が僕にとって一種の“就職”だったというか。
だからといって、逆にこの道で躓いたときの恐怖も当時はなくて。もしダメだった場合は、そこから大学に行くこともできるし、その時にまた他の道を考えようとさえ思っていました。
■現在人気俳優として活躍されている佐藤さんですが、他の方にないご自身の強みはなんでしょうか?
結局俳優は、作品の中でどれほど<魅力的なキャラクター>に出会えるかが大きいと思うんですよ。もちろん役者としての力が必要ですし、欲しいとも思うんですけど、そんなことはどうでも良いと思えるほど、キャラクターの魅力で人はどこまでも素敵に見える。
そういった意味でも、僕にとっては剣心というキャラクターと巡り会えたことが、何よりも幸運でしたし、ほかの方にない財産だと感じています。
■これから俳優業と、どのように向き合っていきたいですか?
仕事を本気でやっている人って、自分の仕事にプライドを持っているし、そのジャンルで負けたくない!という気持ちを抱いていると思うんですけど、僕にとってはそれが俳優業だということ。
それは僕の人生の中で偶然出会えたものですが、そんなラッキーなチャンスを得たからこそ、自分にとって負けたくないものを俳優に設定しているのかもしれないです。
人間にとって、ひとつ本気で取り組めるものがあるかないかって、人生の意味も大きく変わってくると考えているので、僕が自分の中でひとつ譲れないもの(俳優業)があることが、僕にとって幸運だと感じていますし、これからも頑張っていきたいです。
<作品情報>
映画『るろうに剣心』最終章
公開時期:『るろうに剣心 最終章 The Final』2021年4月23日(金)、『るろうに剣心 最終章 The Beginning』6月4日(金)