特別展「揚州八怪」が、大阪市立美術館にて、2021年6月12日(土)から8月15日(日)まで開催される。
「揚州八怪」とは、中国の清時代18世紀、揚子江北岸の都市・揚州で活躍した書画家8人をまとめた呼び名だ。塩商の活躍によって経済的に繁栄した揚州には、多くの芸術家が集った。書画の分野では、古典に学びつつも先進的で個性的な創作を行なう者も数多く現れるようになる。後世の批評家は、そうした書画家から代表的な8人を選び、八怪と呼んだのであった。
特別展「揚州八怪」は、揚州八怪の芸術をまとめて紹介する、日本では数少ない展覧会だ。日本国内に収蔵される73件の作品を展示するとともに、中国屈指の収蔵を誇る上海博物館の協力のもと、八怪の名品を紹介する精細な画像を加え、揚州八怪の全容に迫る。
洗練された表現のなかに、各個人の人間性が色濃く表れる「揚州八怪」の芸術。しかし、「揚州八怪」とされた書画家は、批評家によって選んだ8人が異なったため、実は15人もいる(※)。それは、清代中期の揚州において、才能あふれる書画家が数多く活躍していたことを示すものだともいえる。
※揚州八怪には、金農(きんのう)、鄭燮(ていしょう)、陳撰(ちんせん)、華嵒(かがん)、高鳳翰(こうほうかん)、辺寿民(へんじゅみん)、汪士慎(おうししん)、李鱓(りぜん)、黄慎(こうしん)、高翔(こうしょう)、李方膺(りほうよう)、楊法(ようほう)、閔貞(びんてい)、羅聘(らへい)、李葂(りべん)が挙げられる。
本展では、揚州八怪に挙げられた書画家のうち12人の作品を一挙に公開。指や爪を使って、風に揺らぐ蓮の姿を表現した高鳳翰(こうほうかん)《山水花卉冊(蓮)》、欧陽脩「秋声賦」の詩情を絵画に描いた華嵒(かがん)《秋声賦意図軸》、太い横画に細く鋭い払いを組み合わせた独特の書法による金農(きんのう)《隷書六言詩横披》などを展示し、個性豊かで先進的な表現の数々を紹介する。
揚州八怪が登場する前、明代末期・清代初期には、彼らの芸術を導く先駆的な書画家の活躍があった。会場では、石濤(せきとう)や朱耷(しゅとう)をはじめ、清朝中期の揚州へと引き継がれる個性的な表現を紹介するほか、揚州八怪活躍の舞台となった文化的背景を、袁耀らの作品から探る。
揚州八怪が当時隆盛を極めたのは、彼らの芸術を理解し、高く評価した文化人が存在したからにほかならない。本展では、阮元《行書七言聯》などを展示し、揚州八怪の芸術を広め、後世へと継承した文化人のネットワークを紹介。さらに、趙之謙(ちょうしけん)や呉昌碩(ごしょうせき)らの作品から、中国近代の大家に受け継がれた揚州八怪の面影をたどる。
特別展「揚州八怪」
会期:2021年6月12日(土)〜8月15日(日) 会期中展示替えあり
[前期 6月12日(土)〜7月11日(日) / 後期 7月13日(火)〜8月15日(日)]
会場:大阪市立美術館
住所:大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1-82(天王寺公園内)
開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(8月9日(月・休)は開館)
観覧料:一般 1,500円(1,300円)、高大生 1,000円(800円)
※( )内は、前売りおよび20名以上の団体料金
※中学生以下、障がい者手帳などの所持者(介護者1名を含む)は無料(要証明)
※入場制限などを行う場合あり
※中止・延期・変更となる場合あり
【問い合わせ先】
大阪市総合コールセンター なにわコール
TEL:06-4301-7285 (年中無休 8:00〜21:00)