展覧会「第73回 正倉院展」が、奈良国立博物館にて、2021年10月30日(土)から11月15日(月)まで開催される。
奈良時代に建立された東大寺の倉庫・正倉院は、聖武天皇の遺愛の品々を中心とする約9,000件の宝物を今に伝えている。正倉院展は、正倉院宝物のなかから毎年約60件を選んで公開する展覧会。その73回目となる今回は、楽器や調度品、染織品、仏具など、その全容にふれることができる宝物55件を紹介する。
出陳宝物のなかでも注目は、高貴な素材をふんだんに使用した絃楽器「螺鈿紫檀阮咸(らでんしたんのげんかん)」と、極彩色の文様に彩られた蓮華形の香炉台「漆金薄絵盤(うるしきんぱくえのばん)」。これらはともに、天平文化の華やぎを鮮やかに伝える品であり、正倉院宝物を代表するものである。「螺鈿紫檀阮咸」は奈良では25年ぶりの公開、「漆金薄絵盤」は28年ぶりの公開となる。
また、東大寺大仏の開眼法要において献納された品々もまとまって出陳。とりわけ、中近東ないしは地中海東岸で作られたとされる「白瑠璃高坏(はくるりのたかつき)」は、高度な技術水準を示すガラス器の優品である。加えて、開眼法要で演じられた楽舞の装束も目にすることができる。
さまざまな技法により装飾された染織品も見どころだ。なかでも、鳳凰や草木の文様染めを施した絹織物「茶地花樹鳳凰文﨟纈絁(ちゃじかじゅほうおうもんろうけちのあしぎぬ)」は、今回初出陳。従来ほとんど知られていなかった文様染め技法が使用されていることが近年明らかにされており、当時の染色技術の多彩さを示唆するものだといえる。
そのほか、筆や硯、墨、紙といった文房具も、まとまった点数を出陳。人びとの知識を育むとともに、国の統治に不可欠な文書行政を支えた当時の書の文化の一端にふれることができそうだ。
展覧会「第73回 正倉院展」
会期:2021年10月30日(土)〜11月15日(月) 会期中無休
会場:奈良国立博物館 東新館・西新館
住所:奈良県奈良市登大路町50番地
開館時間:9:00〜18:00(金・土・日曜日、祝日(11月3日)は20:00まで)
※入館はいずれも閉館60分前まで
観覧料金(前売日時指定券):一般券 2,000円、高大生券 1,500円、小中生券 500円
※障害者および介護者1名は無料(無料指定券の予約・発券が必要)
※前売日時指定は、9月25日(土)10:00より発売(詳細は博物館ホームページを参照)
※当日券の販売はなし
※開催内容は変更となる場合あり
【問い合わせ先】
TEL:050-5542-8600 (ハローダイヤル)