特別展「寿ぎのきもの ジャパニーズ・ウェディング ─日本の婚礼衣裳─」が、奈良県立美術館にて、2022年4月23日(土)から6月19日(日)まで開催される。
婚礼は、人生においてもっとも華やかな通過儀礼のひとつだといえ、そのため婚礼の儀式には祈りと喜びの感情が満ちている。そしてこうした心情をあらわすため、花嫁を彩る婚礼衣裳や、婚儀に使用される調度品、そして婚礼の場を演出するあらゆるものには、幸せを祈る形や色、模様が用いられた。
特別展「寿ぎのきもの ジャパニーズ・ウェディング ─日本の婚礼衣裳─」では、こうした表現が洗練されたかたちで行われていた江戸期から昭和初期における、女性の婚礼衣裳や婚礼のしつらえを紹介する。
江戸時代、武家の婚礼においては、花婿と花嫁の両家の結びつきを堅固にすることに重きが置かれ、婚礼に至る手順や衣裳にも厳格な決まりが存在した。一方で町人の場合、武家の婚礼を簡略化したかたちで行われたが、こうした婚礼を挙げることができたのは経済力のある町人に限られた。町人の婚礼では、色直し以降の宴会が重視されたことを背景に、華やかで多様な婚礼衣裳が生まれることになった。本展では、武家の婚礼衣裳や調度品などから儀礼やしきたりをひもとくとともに、町人の婚礼で用いられた華やかな婚礼衣裳の数々を展示する。
明治時代になると、身分制度が形式上取り払われ、婚礼を挙げられる階層も増加。これに伴って、婚礼形式の簡略化と婚礼衣裳の多様化が進んだ。会場では、江戸時代からの伝統を継承しつつ、時代に合わせて多様化していった婚礼衣裳の様相を紹介。北信濃屈指とされた豪商・田中本家の婚礼の際に用いられた衣裳や、大正・昭和に京友禅の老舗・千總(ちそう)の夫人が着用した婚礼衣裳など、華やかで個性豊かな衣裳にも注目したい。
特別展「寿ぎのきもの ジャパニーズ・ウェディング ─日本の婚礼衣裳─」
会期:2022年4月23日(土)〜6月19日(日) 会期中に展示替えあり
[前期 4月23日(土)〜5月22日(日) / 後期 5月24日(火)〜6月19日(日)]
会場:奈良県立美術館
住所:奈良県奈良市登大路町10-6
開館時間:9:00〜17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日
観覧料:一般 1,000円、大・高生 800円、中・小生 600円
※身体障がい者手帳など(アプリ含む)の所持者と介助者1人、外国人観光客(長期滞在者・留学生含む)と付添の観光ボランティアガイドは無料
【問い合わせ先】
奈良県立美術館
TEL:0742-23-3968