展覧会「原弘と造型:1920年代の新興美術運動から」が、東京の武蔵野美術大学 美術館・図書館にて、2022年7月11日(月)から8月14日(日)まで、そして9月5日(月)から10月2日(日)まで開催される。
日本におけるグラフィックデザインの黎明期を牽引したデザイナー、原弘。戦後に手がけた多くのブックデザインや、東京国立近代美術館をはじめとするポスターの仕事が広く知られるばかりでなく、戦後日本のデザイン界のオーガナイザーとして、そして教育者としても功績を残している。
原のこうしたデザイン活動の基盤には、大正期の前衛的な美術運動「新興美術運動」に傾倒しつつ、自らの進むべき道を模索した経験があった。展覧会「原弘と造型:1920年代の新興美術運動から」では、 1920年代の作品を起点に、のちの制作の礎となった30年代から40年代にかけての仕事を紹介する。
1903年生まれの原は、20年代半ば、「三科」や「造形」といった大正末期の新興美術運動に携わり、岡本唐貴や矢部友衛といった洋画家と活動を共にしている。その一方でこの時期には、ロシア構成主義のエル・リシツキーやヤン・チヒョルト、ラースロー・モホイ=ナジらに代表されるニュー・タイポグラフィの理論も摂取した。そのため、原は画家を中心とする美術団体に身を置きつつも絵筆は執らず、自身を印刷や宣伝を専門とする技術者と位置付けて活動した。
新興美術運動への参加とニュー・タイポグラフィ研究を通じて培われた原の理論は、1930年代から40年代にかけて、日本工房や中央工房、東方社など、自ら創設に関わった諸団体で実践されてゆくこととなる。写真を主軸に据えるグラフ誌など、「新しい視覚的形成技術」の確立を目指したその活動は、日本の近代デザイン史の展開そのものをかたち作ったものだといえる。
本展では、原が1920年代から40年代にかけて制作した作品を一堂に紹介。また、「三科」や「造型」などの新興美術運動にまつわる一次資料や、原が残した未公開の原稿類・版下類も展示し、原のデザインの仕事に通底する造型思考に光をあてる。
展覧会「原弘と造型:1920年代の新興美術運動から」
会期:2022年7月11日(月)〜8月14日(日) / 9月5日(月)〜10月2日(日)
会場:武蔵野美術大学 美術館展示室3
住所:東京都小平市小川町1-736
開館時間:12:00〜20:00(土・日曜日、祝日は10:00〜17:00)
休館日:水曜日
入館料:無料
※会期や開館時間の変更、予約制の導入の可能性あり(来館時には最新情報をウェブサイトにて確認のこと)
※会期途中の展示替えなし
■同時開催
展覧会「みんなの椅子 ムサビのデザインVII」
【問い合わせ先】
武蔵野美術大学 美術館・図書館
TEL:042-342-6003