ポール・スミス(Paul Smith)がロンドンで2014-15年秋冬コレクションを発表した。英国調の伝統的なテイラードでおなじみのポール・スミスだが、今回のコレクションでは仕立てを再構築。フェミニティをテーラードにオンするという新たな試みに挑んだ。
どこか霞んだ印象のカラーパレットは、アメリカ人ギタリストのジミ・ヘンドリックスがインスピレーション源。ネイビーやコバルトブルーに相殺された、ホットピンクやマスタードイエローは、サイケデリックなサブカルチャーを表現する。ショーの後半は、バーガンディ、ぺトロールグリーン、パープルやガンメタルグレーと、より深い色調が登場。つかみどころのない独特な世界観を演出している。
ポール・スミスのコレクションに多く見られる、色彩に富んだプリントも、単純なダンディズムを打ち壊すのにひと役買っている。花柄とペイズリー柄のように主張の強いテキスタイルを組み合わせたスタイルや、キャンディーストライプのガウンは、マニッシュなカッティングにも関わらず艶やかな雰囲気。
シングルボタンでリラクシングに仕上げたジャケットや、裾を大きく折り返したトラウザー、ウエストマークしたチェスターフィールドコートなど、フォーマルなアイテムをあえて着崩して魅せた本コレクション。マスキュリンの中に、コケティッシュなスパイスが効いたルックは、ひねりのあるクラシックを得意とするポールスミスらしい仕上がりだ。