地中海を渡りヨーロッパへやってきた人々が大勢ベルギーに暮らしている。トリとロキタも同様にベルギーのリエージュへやってきた。トリはまだ子供だがしっかり者。十代後半のロキタは祖国にいる家族のため、ドラッグの運び屋をして金を稼いでいる。偽りの姉弟としてこの街で生きるふたりは、どんなときも一緒だ。年上のロキタは社会からトリを守り、トリはときに不安定になるロキタを支える。偽造ビザを手に入れ、正規の仕事に就くために、ロキタはさらに危険な闇組織の仕事を始める……。他に頼るもののないふたりの温かく強固な絆と、それを断ち切らんとする冷たい世界。彼らを追い詰めるのは麻薬や闇組織なのか、それとも……。
映画『トリとロキタ』は、2度のパルムドール受賞をはじめ、世界中で90以上もの映画賞に輝いているベルギーの名匠、ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督の最新作。ダルデンヌ兄弟が、キャリア35年にして到達した『トリとロキタ』は、第75回カンヌ国際映画祭で75周年記念大賞を受賞した。