9歳の少女ベニーは、幼少期に父親から受けたトラウマを背負い、手の付けようのない暴れん坊と化し、里親、グループホーム、特別支援学校、どこに行こうと問題を起こして追い出されてしまう。そんなベニーの願いは、ひとつ。「ただ、ママのもとに帰りたい」。しかし、母はベニーに対して愛情は持ちながらもどのように接していいのか皆目見当がつかず、施設へと押し付け続ける。このままではどこにも居場所がなくなってしまうという中、非暴力トレーナーのミヒャは、自分とベニーの2人きりで、森深くの山小屋で3週間の隔離療法を受けさせることを提案。はじめは文句を言い続けていたベニーだったが、徐々にミヒャへ心を開き始め、ある変化が…。ぶち切れるのは愛の不足の裏返し。ただママに愛されたいだけの少女が突き進む崖っぷちの物語が、いま幕を開ける!
映画『システム・クラッシャー』は、社会のどこにも居場所のなくなってしまった9歳の少女を繊細かつ強烈な描写で描き出した物語。ただ母親のもとに帰りたいだけの少女が、もがき突き進む姿を映し出している。“システム・クラッシャー”とは、その乱暴性から行く先々で問題を起こし、施設を転々とする制御不能な攻撃的な子どものこと。ドキュメンタリー映画の撮影中、その存在を知った監督・脚本を務めたノラ・フィングシャイトが、5年間に及ぶ取材を経て脚本を執筆した。