新人賞を受賞したものの、大御所作家・東十条宗典の酷評により華々しいデビューを飾ることなく、小説を発表する場も得られなかった不遇な新人作家・加代子。この恨み、晴らさいでおくべきか——。そう決意しながら憧れの「山の上ホテル」に宿泊する加代子の部屋の上階に泊まっていたのは、なんと東十条だった!大学時代の先輩で編集者の遠藤の手引きによって東十条の執筆を邪魔し、締切日に文芸誌の原稿を見事落とさせる。だがここからが加代子の更なる不遇と試練の始まりだった……。加代子VS東十条の因縁の対決は、誰にも予想できない方向へと突き進んでいく!果たして加代子は文壇に返り咲き、作家としての道を歩むことができるのか!?
『私にふさわしいホテル』は、柚木麻子による小説。柚木は、2008年にオール讀物新人賞を受賞した短編「フォーゲットミー、ノットブルー」を含む単行本『終点のあの子』でデビューし、『ランチのアッコちゃん』や『BUTTER』、『あいにくあんたのためじゃない』などの作品でも知られる。“文学史上最も不遇な新人作家”の逆襲を描いた物語となっており、文壇の裏側に迫るリアリティとスピード感溢れる展開などが魅力だ。
そんな『私にふさわしいホテル』が、主演にのんを迎えて映画化。監督は、ドラマ「ケイゾク」「池袋ウエストゲートパーク」や「TRICK」シリーズ、「SPEC」シリーズ、映画『20世紀少年』3部作などの演出を手掛けてきた堤幸彦が務める。出版業界で不遇を強いられた新人作家が、いかにして文壇を変えていくのか、コミカルかつドラマティックに描き出す。