1970年代のオーストラリア。グレースは双子の弟ギルバートと父親の3人で慎ましくも幸せに暮らしていた。母親は出産と同時に亡くなり、病気がちのグレースは学校でいじめっ子の標的にされているが、いつも守ってくれる頼もしいギルバートと、愛情深くひょうきんな父が側にいてくれた。しかし突然、父が睡眠時無呼吸症候群で亡くなり、グレースとギルバートは別々の里親の元で暮らすことに。離れ離れになった2人は手紙で励まし合い「いつか必ずまた会おう」と約束するが、グレースは寂しさのあまりカタツムリを集めることだけが心の拠り所となった孤独な日々を送るようになる。そんなある時、ピンキーという陽気で変なことばかり言うお婆さんと出会い、2人はいつしかかけがえのない友だちになっていく...…。
映画『かたつむりのメモワール』は、アカデミー賞短編アニメーション映画賞を受賞した『ハーヴィー・クランペット』などで知られるアダム・エリオットが、製作期間に8年を費やしたストップモーション・アニメ。主人公は、幼い頃から孤独を抱えて生きてきた女性グレース。カタツムリを集めることだけが心の拠り所になっていたグレースが、個性豊かな人々との出会いと絆を通じて、少しずつ生きる希望を見出していく姿を映す。