展覧会「フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン」が、東京都庭園美術館にて、2023年6月24日(土)から9月3日(日)まで開催される。その後、茨城県陶芸美術館、山口県立萩美術館・浦上記念館、岐阜県現代陶芸美術館を巡回する。

フィンランド・グラスアート、台頭〜現在の展開

豊かな大自然を擁する北欧の国フィンランドでは、洗練された造形性と優れた機能性を誇る家具やインテリア、飲食器などが手がけられてきた。なかでもガラス作品は、フィンランドの自然や歴史を背景に、個性あふれるデザインが育まれている。

「フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン」は、フィンランドの「アートグラス」を紹介する展覧会。デザイナーが高い芸術性を志向して手がけた「アートグラス」に着目し、1930年代の台頭期から、50年代に始まる黄金期、そして現在に至るまでの展開を、約140件の作品を通してたどってゆく。

フィンランド・グラスアートの芽生え

1917年にロシアから独立したフィンランドでは、ナショナリズムを背景に、さまざまな領域で近代化が推進された。ガラスデザインも例外ではない。30年代には、国際展示会や国内コンペティションが活発に開催され、よりモダンなデザインが求められるようになった。デザイナーが手がけるアートグラスにフィンランドらしさが芽生えたのも、この頃のことである。第1章では、アルヴァ・アアルトやアイノ・アアルト、グンネル・ニューマンら、フィンランド・グラスアートの台頭期に活躍したデザイナーの作品を紹介する。

フィンランド・グラスアート黄金期の巨匠

第二次世界大戦、フィンランドは厳しい状況に取り巻かれたものの、その逆境はフィンランド人のアイディンティの確立を促し、高い品質と優れたデザイン性を備えるアートグラスは国家復興の一翼を担った。そして50年代以降、高級志向の強い「アートグラス」や「ユニークピース」がますます国際展示会に出品されるようになり、フィンランド・グラスアートは黄金期を迎えることとなる。第2章では、カイ・フランク、タピオ・ヴィルッカラ、ティモ・サルパネヴァ、そしてオイヴァ・トイッカの4人を取り上げ、彼らが職人とともに生みだした優品を展示する。

フィンランド・グラスアートの現在

フィンランドのグラスアートは、ガラス製作所とデザイナー、職人の協働のなかで、数々の名品を生みだしてきた。しかし現代においては、グローバル化にともなって制作システムが転換し、製作所はデザイナーを外部から招聘するなど、グラスアート制作を取り巻く状況は変化しつつある。第3章では、現在活躍するマルック・サロとヨーナス・ラークソの2人に光をあて、伝統技術に学びつつ新たな芸術性を生みだすその作品を紹介する。

展覧会概要

展覧会「フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン」
会期：2023年6月24日(土)〜9月3日(日)
会場：東京都庭園美術館 本館＋新館
住所：東京都港区白金台5-21-9
開館時間：10:00〜18:00(入館は閉館30分前まで)
休館日：月曜日(7月17日(月・祝)は開館)、7月18日(火)
入館料：一般 1,400円(1,120円)、大学生(専修・各種専門学校生含む) 1,120円(890円)、中学・高校生 700円(560円)、65歳以上 700円(560円)
※( )内は20名以上の団体料金
※小学生以下、都内在住在学の中学生は無料
※身体障害者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、被爆者健康手帳の所持者および介護者2名は無料
※日時指定の事前予約制

■巡回情報
・茨城県陶芸美術館
会期：2023年3月18日(土)〜6月11日(日)
住所：茨城県笠間市笠間2345(笠間芸術の森公園内)
・山口県立萩美術館・浦上記念館
会期：2023年9月16日(土)〜12月3日(日)
住所：山口県萩市平安古町586-1
・岐阜県現代陶芸美術館
会期：2023年12月16日(土)〜2024年3月3日(日)
住所：岐阜県多治見市東町4-2-5 セラミックパークMINO内
・富山市ガラス美術館〈会期終了〉
会期：2022年11月3日(木・祝)〜2023年1月29日(日)
住所：富山県富山市西町5-1

【問い合わせ先】
TEL：050-5541-8600(ハローダイヤル)