ヴィルドホワイレン(WILDFRÄULEIN)の2024年春夏コレクションが、楽天ファッションウィーク期間中の2023年8月28日(月)に、渋谷ヒカリエにて発表された。テーマは「The Prayer」。
ヴィルドホワイレンがショーを開催するのは、ニューヨークで開催して以来6年ぶり。アメリカと日本の2カ国を拠点とするデザイナー・ループ志村は、日曜の午前中に教会へ訪れるのが習慣だという。家族を大事にすること、仲間を思いやること、そんなことを頭に描きながら流れる教会での時間が好きだというループ志村は、教会での様子を表現すべく、「The Prayer」に沿ったコレクションを展開する。
テーマよろしくショーは手を合わせて祈りを捧げるモデルからスタート。光を浴びて祈る姿を見ると、まるで会場が教会になったかのような錯覚を覚える。清廉な印象を受けるホワイトのシャツドレスに身を包み、バックには天使と口づけする人物が描かれたタペストリーを配した。
ちなみに、コレクションアイテムの随所に見られる絵は、幼い頃から多ジャンルな芸術に囲まれて育ったループ志村のバックグラウンドを表すように、すべて彼が描いたものだ。世界を旅する中で描き続けてきたものを採用し、その試みは今後も続けていくという。
身近な出来事、すなわち日常や文化をコレクションに落とし込むことも目指した今季。アメリカでは、メッセージ性などは一切なしにミリタリー要素を当たり前のようにファッションに取り入れる人が多いと感じたループ志村は、ミリタリーなディテールをウェアの中に取り入れた。大きなポケット4つをフロントで繋ぎ合わせたベストを、カーゴパンツやメッシュ素材のトップスと組み合わせている。
繊細な輝きを放つのは、ロングTシャツなどに施されたゴールドの刺繍だ。ホワイトのトップスにはドラゴンの刺繍を、タイダイ柄のロングTシャツにはフロント全面に、中央で羽を広げる鳥や草花などの刺繍をあしらい、荘厳な雰囲気をプラスしている。
小物類にも注目したい。ボックス型ハンドバッグや、表面に生地の重なりが見える大きなショルダーバッグなどが登場する。また、レザーのキーケース兼ネックレスには、あるストーリーが込められている。デザイナーがやんちゃだった頃、全く家に帰らなかったことにちなみ、家に帰ることを促すかのようにコレクション内では鍵を首から下げることにしたそうだ。なお、セットしている鍵は、ブランドがスタートしてからの10年間の中で使用してきたアトリエや事務所の鍵を使用している。