濃いキャラクター達との人間模様も作品の見所になっていますね。
『BAD LANDS バッド・ランズ』という世界の中で生きる、彼らの生き様がリアルに描かれているのだと思います。自分の生活から遠い世界を演じるとき、例えば、曼荼羅たちが暮らす「ふれあい荘」のスラム街を目の当たりにしたときなど、どうしてもファンタジーに感じてしまうと思うんです。
でも、そこは彼らが実際に暮らす世界であって、生活の根ざしている現実なんです。だから、実際に曼荼羅やジョー、そこに暮らす人々がどう動いて、何とどう戦って生きているのか。彼らのいる世界に実際に演者である私も身を置いて生きなければいけないんだ、と考えながら演じていました。
安藤さんが演技を続けていく中で、変化があったと思う転換点などはありましたか?
安藤:常に変化していると感じています。作品と出会う度に新しい価値観を知ることができていると思いますし、役柄に出会うたびに自分は変化しているなって感じています。自分の私生活だけ切り取っても日常の中で色々な影響を受けてすごく変わっていきます。
私は、“他者を理解する“ことを常にしていく職業だと思っています。全然自分とは違う価値観の人を、身体とイマジネーションを使って演じていくことは学びが多く、役と出会う度に自分自身が変化していっているような感覚もあり喜びも大きいです。
今回はネリ、という人物と私自身の生活リズムがそもそも違う中でどう演じていくのか、ということを考えていく作業や準備がまず楽しかった。若いときは奇抜な役を演じる機会が多かったのですが、自分とかけ離れたキャラクターを演じるのは久しぶりだったので、ワクワクしました。
最後に、安藤さんにとって、活動していく中での原動力とは?
安藤:それは作品に関わること、作品を作っていく現場、演じることがすごく好きということ。私の志がそこにあるからです。
<持たざる者>が<持つ者>から生きる糧を掠め取り生き延びてきたこの地で、特殊詐欺に加担するネリと弟・ジョー。二人はある夜、思いがけず“億を超える大金”を手にしてしまう。金を引き出す…ただそれだけだったはずの2人に迫る様々な巨悪。果たして、ネリとジョーはこの<危険な地>から逃れられるのか。
【作品詳細】
映画『BAD LANDS バッド・ランズ』
公開日:2023年9月29日(金)
出演:安藤サクラ、山田涼介、生瀬勝久、吉原光夫、大場泰正、淵上泰史、縄田カノン、前田航基、鴨鈴女、山村憲之介、田原靖子、山田蟲男、伊藤公一、福重友、齋賀正和、杉林健生、永島知洋、サリngROCK、天童よしみ、江口のりこ、宇崎竜童
監督:原田眞人
脚本:原田眞人
プロデュース:原田眞人
原作:黒川博行『勁草』(徳間文庫刊)
音楽:土屋玲子