映画『Shirley シャーリイ』が、2024年7月5日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開される。
シャーリイ・ジャクスンは、1920年代にカリフォルニア州バーリンゲームで育った子ども時代を半自伝的に描いた長編『壁の向こうへ続く道』でデビューした作家。1948年に『ニューヨーカー』誌上で発表した短編「くじ」で一大センセーションを巻き起こし、名声を確立した。
1959年に出版した超⾃然的なホラー⼩説『丘の上の屋敷』は、ゴーストストーリーの古典ともいわれ、小説家のスティーブン・キングが激賞。映画『シャイニング』にも影響を与えたと言われる。⽂学とかけ離れたホラー作家として扱われてきたが、シャーリイは人間の恐ろしさや日常のありふれた風景の中に恐怖を見出すことを得意とし、心理サスペンス、ホラー、ダークファンタジーといったジャンルにおいても優れた小説を世に送り出した。
『Shirley シャーリイ』は、そんな怪奇作家シャーリイ・ジャクスンの伝記を初めて映画化した作品。稀代の怪奇作家シャーリイ・ジャクスンの伝記に、現代的で斬新な解釈を加えて練り上げた心理サスペンスとなっている。彼女の小説だけでなく、夫で文芸評論家でもあったスタンリー・エドガー・ハイマンとの数百通にも及ぶ手紙をもとに制作された。
シャーリイ自身のキャラクターも描きつつ、彼女の小説世界に迷い込んだかのような、現実と虚構が交錯する幻想的な映像も魅力の1つだ。
主人公のシャーリイを演じるのは、『透明⼈間』『ハンドメイズ・テイル/侍⼥の物語』などで知られるエリザベス・モス。加えて、『シェイプ・オブ・ウォーター』『君の名前で僕を呼んで』などのマイケル・スタールバーグ、『グッバイ︕リチャード』のオデッサ・ヤング、『ウォールフラワー』などのローガン・ラーマンら一流キャストが勢揃いする。
主人公シャーリイ・ジャクスン…エリザベス・モス
“魔女”と呼ばれた作家。1948年、『ニューヨーカー』誌上に発表した短編「くじ」が⼀⼤センセーションを巻き起こすも、ベニントン⼤学に通う18歳の少⼥・ポーラが突如として消息を絶った未解決失踪事件を題材に、新しい⻑編⼩説に取り組む中でスランプに陥ってしまう。突然の来訪者であるローズを当初は忌々しく思うが、シャーリイの短編小説『くじ』について真っ直ぐな瞳で語るローズに次第に興味を抱く。
スタンリー・ハイマン…マイケル・スタールバーグ
シャーリイの夫。シャーリイが小説の題材に選んだ事件の少女と同じ、ベニントン⼤学で教授を務める。引きこもってばかりいるシャーリイの機嫌をとって執筆へ向かわせようとするもうまくいかない。「⼥学⽣失踪の話か 低俗だが書いてもいい」「狂気の淵に⽴つ夫⼈ これから何が起こるのか︖」とスランプ中のシャーリイを煽るような場面も。
フレッド…ローガン・ラーマン
スタンリーの補佐として文学部で職を得て、新しい街に引っ越してきたばかり。夫婦でバーモント州の学園都市への移住を計画していたが、無料で部屋と⾷事を提供する代わりに家事や妻の世話をしてほしいとスタンリーに半ば強引に言いくるめられ、シャーリイ・スタンリー一家と共同生活を送ることになる。
ローズ…オデッサ・ヤング
フレッドの妻。フレッドとともに、シャーリイやスタンリーと共同生活を送ることになる。シャーリイの世話を焼きながら、いつの間にかシャーリイのカリスマ性に魅入られていく。
製作総指揮は、シャーリイの初長編『Butter on the Latch』に惚れ込んだという巨匠マーティン・スコセッシが担当。「シャーリイは⾮⽇常的な設定、⼼理描写、あるいは潜在意識に訴える巧みなリズムを使って⼈種差別、階級差別、性差別と闘っていたのだ」とその魅⼒について語っている。
監督を務めるのは、奇才ジョセフィン・デッカー。映画会社A24とApple TV+の共同制作『空はどこまでも』などで知られている。
新たな長編小説に取り組んでいたシャーリイは、なかなかスランプから抜け出せずにいた。夫のスタンリーも協力するが、うまくいかない。ある日そんな2人のもとへ、1組の夫婦、妻のローズと夫のフレッドが居候としてやってくる。新居が見るかるまで、無料で部屋と⾷事を提供する代わりに家事やシャーリイの世話をしてほしいと、スタンリーは半ば強引に夫婦を言いくるめ、共同生活を開始することに。
いつしかシャーリイと、ひどい扱いを受けても懲りずに世話を焼く妻のローズの間には、奇妙な絆が芽生えていく。しかし、この風変わりな家に深入りしてしまった夫婦は、やがて自分たちの愛の限界を試されることになるのだった。
【作品詳細】
映画『Shirley シャーリイ』
公開日:2024年7月5日(金)
製作総指揮:マーティン・スコセッシ
監督︓ジョセフィン・デッカー
脚本︓サラ・ガビンズ
原作︓スーザン・スカーフ・メレル(『Shirley』未邦訳)
出演:エリザベス・モス、マイケル・スタールバーグ、ローガン・ラーマン、オデッサ・ヤング
字幕翻訳︓橋本裕充
配給︓サンリスフィルム
原題:Shirley