特別展「時代とあゆむ袋物商 たばこ入れからハンドバッグまで」が、東京のたばこと塩の博物館にて、2024年4月27日(土)から6月30日(日)まで開催される。
日本で和装が主流であった頃、貴重品や懐紙、たばこなどを携帯する際には、袋物が用いられた。とりわけ江戸時代から昭和時代初期頃にかけて、袋物の代表的な存在であったのが、紙入れやたばこ入れである。これらは、実用品であるとともに、装身具としての役割を担うものでもあった。
特別展「時代とあゆむ袋物商 たばこ入れからハンドバッグまで」は、たばこ入れを中心に、さまざまな種類の袋物、絵画資料や書籍など、約300点の作品を紹介。袋物の機能と意匠、時勢に応じた変化などに光をあててゆく。
日本ではかつて、出かける際の袋物として、火打ち道具などを入れる火打袋や巾着などを用いていたという。その後、16世紀末にたばこが伝来し、喫煙習慣が浸透すると、喫煙の道具を携帯するようになった。当初は既存の袋物を転用していたものの、やがて専用の「たばこ入れ」が登場。徐々に装身具の性格を帯びていったたばこ入れは、やがて素材や細工を凝らしたものが作られるようになった。本展の序盤では、たばこ入れをはじめ、かつて日常にあった袋物を紹介する。
さまざまな部分から構成されるたばこ入れは、それぞれの部品にも素材や装飾が凝らされた。やがて明治時代に廃刀令が出されると、刀装具を製作していた職人が袋物を含めた日用品を手がけるようになり、たばこ入れは技術の粋を集めた美術工芸品として黄金期を迎えることになる。会場の中盤では、機能と意匠が溶けあう、美術工芸品としてのたばこ入れを展示する。
江戸時代末に日本が開国し、海外との貿易が本格化すると、袋物も変化を被ることになった。和装とともに留め具として用いられた「根付」といった工芸品は観賞用として、たばこ入れはハンドバッグとして輸出されている。また、都市部の男性のあいだでは洋装化が早く進む一方、女性の本格的な洋装化は昭和時代以降であり、また男性もプライベートな空間では和装が多かったため、需要に合わせた袋物類が作られ続けた。本展の終盤では、時代の需要に合わせて変化した袋物の変遷をたどってゆく。
特別展「時代とあゆむ袋物商 たばこ入れからハンドバッグまで」
会期:2024年4月27日(土)〜6月30日(日) 前後期で一部作品の展示替えあり
[前期 4月27日(土)~5月26日(日) / 後期 5月28日(火)~6月30日(日)]
会場:たばこと塩の博物館 2F 特別展示室
住所:東京都墨田区横川1-16-3
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(4月29日(月・祝)、5月6日(月・振)は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)
入館料:大人・大学生 100円、65歳以上 50円、小学・中学・高校生 50円
【問い合わせ先】
たばこと塩の博物館
TEL:03-3622-8801