ディズニー新作実写映画『シンデレラ』が、2015年4月25日(土)に日本公開される。さらに、これに合わせ『アナと雪の女王/エルサのサプライズ』も同時上映。『アナと雪の女王』のオリジナルキャスト&スタッフ陣が再集結した。
『シンデレラ』の監督を務めるのは、俳優としても活躍するケネス・ブラナー。ヒロインのシンデレラ役に抜擢されたのは、映画『タイタンの逆襲』で長編映画デビューを果たした新進気鋭の英国人女優のリリー・ジェームズだ。
悪名高き継母役にケイト・ブランシェット、王子役にリチャード・マッデン、義姉役にホリデイ・グレインジャーとソフィー・マクシェラ、フェアリー・ゴッドマザー役にヘレナ・ボナム=カーターをキャスティング。
華々しい宮廷という独特の世界を描写することに長けているケネス・ブラナーと、アカデミー賞受賞歴のある実力派スタッフ陣が見せる、豪華絢爛な城での舞踏会が『シンデレラ』で最も注目すべきポイントの一つ。煌びやかシーンをより一層盛り上げるのは、これまでに『恋におちたシェイクスピア』、『アビエイター』、『ヴィクトリア女王 世紀の愛』と3作品で、アカデミー衣裳デザイン賞を受賞している、サンディ・パウエルが手掛ける衣裳の数々だ。
スワロフスキーをあしらったシンデレラのドレスやボタニカル柄の刺繍を配した王子のジャケット、意地悪な継母のベルベットのドレス、義姉たちの花柄ドレスなど、キャラクターの個性を活かした衣裳が、観る者を『シンデレラ』の世界へと引き込んでいく。
誰もがロマンティックなイメージを抱く装いを現代にフィットさせ、オリジナリティを持たせるには、どのような経緯を経ているのだろうか。制作過程をベースに、ドリーミーなイメージの築き方や彼女が描くシンデレラ像についてサンディ・パウエルにに尋ねた。
オファーが舞い込んできたとき、初めに思ったことは、どんなことですか?
子供の頃は、あまりシンデレラを見るようなタイプの少女ではなかったのですが、ちょうどその頃携わっていたのが、マーティン・スコセッシ監督の作品で、基本的に登場人物は、すべて男性。男性のために毎日衣裳を作っていたので、それとは対極にある、女の子らしい可愛い衣裳を作れるということで、すごくワクワクしました。
まず、初めに取り組んだことを教えてください。
どんな作品でもそうなのですが、脚本を読み砕くこと。監督と話し合い、じっくり話を聞いて、どんなビジョンを持ち、どういったものを創り出したいか、きっちりと理解するところから始めました。
オリジナリティを出すために、どのようなアプローチをしましたか?
特定の時代設定をもっている作品であれば、その時代に創られた絵画や書籍、洋服を徹底的に調べるのですが、おとぎ話ということで、時代背景に囚われず“むかしむかしどこかの国で起きたことですよ”というような、漠然とした夢の世界を想像しました。
そこで、14世紀から20世紀に渡って、様々な時代をざっくりと調べました。制約がないと、アイデアが浮かびすぎてしまうので、時代設定を考えなくてはいけないということが大きな課題で。ファッションカタログや雑誌などを参考にして、インスピレーションをかき集めました。
特に影響を受けた時代、設定、モノなどはありますか?
基本となるのは19世紀の衣裳。10年ごとに多種多様なスタイルがあり、選択の幅が広いので。特に、男性の衣服に関しては、個人的にとても好きで、魅力的だと思います。衣裳のシルエットに関しては、19世紀前半を意識しました。
また、現代のデザイナーやモノからもアイデアを得て、単に調べるだけではなく、これとこれを組み合わせたら、面白くなるだろうなと思考を重ねました。
美しいウエストラインを見せるコルセットやスカートを膨らませるクリノリンなど、西洋ファッションを支えたアイテムを巧みに採り入れている。一方で、継母や義姉たちは、帽子やジュエリーといったデコラティブな小物をふんだんに採用し、モダンなファッションを織り込んでいるのも魅力の1つ。
集めた情報は、どのように衣裳デザインに落とし込んでいくのでしょうか?
大雑把に“このキャラクターはこういうイメージ”というように、カテゴリー分けをします。
その時点で、だいたいはキャスティングが決まっているので、どの俳優が、どの役を誰が演じるということがわかれば、具体的なデザインへと移行し、キーカラー(基調色)や色味などを決めて、もっと詰めていきます。
デザインをする際に、最も力を入れていることを教えてください。
生地ですね。自ら手に取って、触って、目で見て選びたくて。アイデアが浮かぶ前から、問屋に行って、実際に生地を見てインスピレーションを得るということもあるくらい、生地選びや色選びには、とてもこだわっています。
シンデレラを想像したときに、真っ先に思い浮かぶ青色のドレス。華やかな舞踏会で、満開に咲く花のように大きく広がったドレスは、幻想的で美しい。さらにスカート部分に忍ばせた、オーロラに輝く光沢感のある生地、随所に配した蝶のモチーフといった美しいディテールが、物語をよりドラマティックな“装い”に仕立てていく。