企画展「メキシコへのまなざし」が、埼玉県立近代美術館にて、2025年2月1日(土)から5月11日(日)まで開催される。
企画展「メキシコへのまなざし」は、1950年代の日本の美術家が、メキシコ美術をどのように捉えたのかを探る展覧会。岡本太郎や河原温、芥川(間所)紗織など、5人の美術家の活動に焦点を合わせるとともに、メキシコの近現代美術の作品も紹介する。
本展の鍵となるのが、1955年に東京国立博物館で開催された「メキシコ美術展」だ。1950年代の日本では、メキシコ美術が注目を集めるようになっていった。なかでも「メキシコ美術展」は、日本の美術家がメキシコに目をむける契機となった展覧会であった。
メキシコでは、1910年代のメキシコ革命を背景に、社会的な主題を取り上げつつ、土着的な要素とともに躍動感あるリアリズムで描きだした美術表現が展開された。とりわけ1920〜30年代には、政治的なメッセージを伝える媒体として、誰もが目にする壁画が注目されたことから、「メキシコ壁画運動」が興っている。
一方、第二次世界大戦後の日本では、政治や社会の問題をリアリズムを通じて表現する作品が数多く発表された。メキシコ壁画運動をはじめとするメキシコ美術は、こうした方向を模索した日本の美術家たちの関心を集めることになったのだ。
本展では、1950年代にメキシコに関心を抱いた美術家のなかから、福沢一郎、岡本太郎、利根山光人、芥川(間所)紗織、河原温の5人を紹介。岡本の油彩画《建設》や河原の《20 ABR. 68》 、芥川(間所)による染色作品《大木にハサマレタ若い神》といった作品に加えて、メキシコで撮影した写真や蒐集した民芸品なども展示し、当時の美術家がメキシコをどのように捉えていたのかに光をあてる。
加えて、1955年の「メキシコ美術展」の出品作家のうち、メキシコ壁画運動を牽引したホセ・クレメンテ・オロスコ、ディエゴ・リベラ、ダビッド・アルファロ=シケイロスや、次世代を代表する美術家であるルフィーノ・タマヨなどの作品も公開する。
また、埼玉県立近代美術館は、1982年の開館以来、メキシコの近現代美術を収集し、メキシコ美術にまつわる展覧会をたびたび開催してきた。その背景には、1955年の「メキシコ美術展」に足を運び、メキシコ美術への造詣を深めていった初代館長・本間正義の存在がある。本展では、同館のメキシコ美術コレクションとその形成の足跡についても紹介する。
企画展「メキシコへのまなざし」
会期:2025年2月1日(土)〜5月11日(日) 一部展示替えあり
[前期 2月1日(土)〜3月23日(日) / 後期 3月25日(火)〜5月11日(日)]
会場:埼玉県立近代美術館
住所:埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1
開館時間:10:00~17:30(展示室への入場は17:00まで)
休館日:月曜日(2月24日(月・振)、5月5日(月・祝)は開館)
観覧料:一般 900円(720円)、高校・大学生 720円(580円)
※( )内は20名以上の団体料金
※中学生以下、障害者手帳の提示者(付添者1名含む)は無料
※企画展観覧券(ぐるっとパスをのぞく)の所持者は、あわせて「MOMASコレクション」(1階展示室)も観覧可
■出品予定作家
福沢一郎、岡本太郎、利根山光人、芥川(間所)紗織、河原温
ホセ・グアダルーペ・ポサダ、ホセ・クレメンテ・オロスコ、ディエゴ・リベラ、北川民次、ダビッド・アルファロ=シケイロス、ルフィーノ・タマヨ、堀内秀夫、高橋力雄、ルイス・ニシザワ、吉田穂高、フランシスコ・トレド、マルティン・ディアス=マンハーレス
【問い合わせ先】
埼玉県立近代美術館
TEL:048-824-0111