3月12日より、ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート美術館でヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)の展覧会が開催される。10日の行われたプレビューをもとに、一般公開に先立って同展覧会を紹介する。この展覧会はパリ・デビューから30周年を記念して行われるもので、英国でのヨウジヤマモトの展覧会は今回が初めてとなる。
メインの展示室ではまず、60点以上ものレディス・メンズ作品が展示される。80年代から最近までの作品がテーマや特徴ごとにミックスされており、山本耀司のクリエーションの源泉や方法論に迫ることができる。フィレンツェやパリ、アントワープなどヨウジヤマモト展は過去にも海外で行われているが、メンズウェア・コレクションが展示で紹介されるのは今回が初めてとのこと。なお、展示スペースのデザインは、山本耀司と長年コラボレーションを組んできた空間演出家・照明デザイナー、二瓶マサオによるものだ。
展示内容は服だけに留まらず、過去のファッションショーや山本が衣装を手がけた映画、インタビューなどの映像、さらにはカタログや写真資料など、様々なフォーマットで山本耀司の軌跡を辿る内容となっている。
もうひとつ今回の展示で重要な見所となっているのが、デザイナー自らが展示室の壁に描いたドローイングだ。現役のデザイナーのドローイングが服とともに展示される機会は決して多くない。
メインの展示室以外にも、広大な美術館の他の展示室数カ所で作品が展示されている。様々な古今の美術品とともに歴史ある建築物の中に佇む作品を見ると、その作品の存在感をあらためて意識させられる。
ヨウジヤマモトのコレクションの歴史を辿るだけでなく、山本耀司という日本を代表するデザイナーが世界のファッションに与えた影響を再確認させる歴史的な展示。海外での開催だが、機会があれば日本のファッション好きにも是非足を運んでもらいたい展覧会だ。
(text by Taro Serikawa)
【展覧会概要】
会期:2011 年3 月12 日-7 月10 日
入場料:7ポンド(割引が適用される場合もあり)V&A 会員は無料
ウェブサイト: www.vam.ac.uk
本展担当キュレーター:V&A コンテンポラリー・キュレーター、Ligaya Salazar
展覧会デザイナー:二瓶マサオ
グラフィックアート・ディレクター:Peter Saville
グラフィックデザイン:Yes Studio
ポスターイメージ:Nick Knight