そして物語における重要シーンにも、やはり食べ物が関係している。映画後半、千尋がハクにもらったおにぎりを食べる場面。食べることを通して感じる千尋の感情の変化とは何だろうか。絵コンテで21秒もあるこの大切な場面の解説を読めば、もう一度この作品を見てみたくなってしまう。
映画の中では食べることだけでなく、食事を作るシーンもいくつか登場している。第2室では食事を作るシーンを空間展示で忠実に再現。登場人物たちが食事を作る姿を想像しながら楽しむことができる。
『となりのトトロ』の草壁家の食卓と台所が、今回の展示で映画さながら再現される。台所には、さつきが朝ごはんを料理する際に使っていた鍋や包丁、そして居間には見覚えのある丸いちゃぶ台が。ちゃぶ台の上にはさつきがお父さんとめいに作ったあのお弁当と朝ごはんが置かれている。
『天空の城ラピュタ』のタイガーモス号の調理場を再現した展示では、シータが大人顔負けで料理したあの場面が思い起こされる。調理台には、思わず「おいしそう」と声が漏れそうになるほどの出来立てスープが置かれている。そのほかにも、思わず手が伸びてしまいそうなパンなども。この臨場感あふれる展示は、実際足を運んでみてみないと体感できない。
そして、この展示のすごいところは見えないところまでも再現し尽くしているというところ。いろんな棚を開ければ、食材が隠れていたり、残飯が隠れていたり……。隅々までこの空間を堪能してほしい。
見るだけじゃ物足りないという人には、実際に再現されたカフェメニューがおすすめだ。期間中は特別メニューとして、『ハウルの動く城』から「お城のベーコンエッグ」、『崖の上のポニョ』から「あらしの夜のハムラーメン」、そして『魔女の宅急便』から「ちっちゃなマダムのチョコレートケーキ」が登場する。
また、テイクアウトとして「みんな大好きハムサンド」、ドリンクメニューとして「ハチミツ入りホットミルク」も提供。ひとつの「おいしい」を生み出すために精密で膨大なレシピを練っているのは映画だけでなく、このカフェでも同じ。どのメニューも決して贅沢ではないかもしれないが、どこか懐かしい、そして優しさに溢れたホッと心和む味だ。
「食べるを描く。」
展示期間:2017年5月27日(土)~2018年11月4日(月)(予定)
企画・監修:宮崎吾朗
価格:大人・大学生 1,000円、高校・中学生 700円、小学生 400円、幼児(4歳以上) 100円
※4歳未満は無料。※上記料金は、税込み。
※営利目的でのチケット転売は、いかなる場合にも禁止。
※オークション等で転売されたチケットであると判明した場合、入場は不可。
※毎月10日はチケット発売日。
チケット詳細URL:http://www.lawson.co.jp/ghibli_museum/
【問い合わせ先】
TEL:0570-055777
(ご案内ダイヤル/9:00~18:00/休館日の火曜日をのぞく)
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