■映画『blank13』で、長編映画監督としてもデビューを飾った斎藤工。『去年の冬、きみと別れ』の撮影中には、自作を公開する劇場の手配も並行して行っていたという。次に、そんな彼の考える映画論について話を伺った。
Q,『去年の冬、きみと別れ』のように、人間の”陰”や”闇”を映した作品は、何故観客は魅了するのでしょう。
斎藤:僕は、すごく明るいパブリックイメージのある人ほど、自分ひとりの時間を過ごしている時に、誰も見たことのないような暗い表情をしているのではないかなって、勝手に思っているんけど……スクリーンで、観客が何を観に行くかというと、おそらく、僕たち俳優勢の持つ”スーパープライバシー”の中に隠れている闇の部分で、それに期待していると思うんです。作品に闇でリンクすることは、光をもって対抗するより、圧倒的に観客を引き込む力があると思います。
Q,一番闇が映し出されたキャラクターは?
斎藤:岩田さん。三代目J Soul Brothers さんのライブだと、岩田さんは、ドームのステージで、本当に輝いていらっしゃる(笑)。けれど、岩田さんが普段見せている光が強ければ強いほど、演じる耶雲の闇もより一層濃くなっていると思います。
山本美月:耶雲の婚約者である松田百合子(まつだゆりこ)
北村一輝:耶雲が事件の取材ルポタージュの提案をする週刊誌・編集者の小林良樹(こばやしよしき)
浅見れいな:さらには木原坂雄大の姉で弟を事件からかばう木原坂朱里(きはらざかあかり)
『犯人に告ぐ』『脳男』『グラスホッパー』などサスペンスやミステリーを手掛けてきた瀧本智行がメガホンをとるほか、脚本家は、『デスノート』前大石哲也。
主題歌に抜擢されたのはm-flo。20周年を迎えるm-floに初代ボーカルLISAが復帰し、主題歌となる新曲「never」をもって15年ぶりにオリジナルメンバーで活動再開する。活動再開のきっかけとなったのは、2016年12月におきた函館でのVERBALの事故。同年年末にm-floでのイベント出演が決まっており、急遽VERBALの代役としてLISAが出演した。
年明け、☆TakuがVERBALのお見舞いに出向いた際に再活動を提案し、VERBALも快諾。3人は「LISAを迎えた、3人のm-floとして久しぶりのバラード曲、映画の主題歌に選んで頂けたことをとても嬉しく思います。一見映画と関係なさそうな歌詞で、実は繋がっている曲。普通のバラードとは違い、m-floマジックが沢山入った曲に仕上がりました。早く皆さんに聞いていただきたいです」とコメントしている。
また、映画の公開に先立って、場面写真やメイキング写真で構成された、ビジュアルブックが、3月1日(木)より発売される。本作は、岩田剛典の新たな魅力を凝縮。婚約者・百合子を演じた山本美月とのシーンで見せる、優しげな表情や、木原坂を演じた斎藤工と対峙する、激しい表情など、普段はみることのできない岩田剛典の喜怒哀楽の表情を収めた、貴重な一冊に仕上がった。
『去年の冬、きみと別れ』
公開日:2018年3月10日(土)
原作:中村文則『去年の冬、きみと別れ』(幻冬舎文庫)
監督:瀧本智行 脚本:大石哲也 音楽:上野耕路
出演:岩田剛典(EXILE / 三代目 J Soul Brothers)、山本美月、斎藤工、浅見れいな、北村一輝
制作プロダクション:C&Iエンタテイメント
製作:映画「去年の冬、きみと別れ」製作委員会
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)2018映画「去年の冬、きみと別れ」製作委員会
■ビジュアルブック
発売日:3月1日(木)
価格:730円+税 (文庫判/ソフトカバー/オールカラー/208ページ)
ストーリー
物語の主人公は、新進気鋭のルポライター耶雲恭介(やくもきょうすけ)。婚約者・松田百合子(まつだゆりこ)との結婚を間近に控えていたが、本の出版を目指す彼が目を付けたのは…?
不可解な謎が残る、盲目の美女が巻き込まれた焼死事件と、その事件の容疑者である天才写真家・木原坂雄大(きはらざかゆうだい)。しかしその真相に近づくにつれ、彼は抜けることのできない深みにはまっていく。
序盤、その時僕は恋に落ちた…と耶雲が語るように、恋をする純真無垢な青年の顔をもつ。それでも状況は一変。一気に事件に巻き込まれていく耶雲。彼に待ち受けるジェットコースターのような怒涛の展開へと広がっていく。