阿部サダヲと吉岡里帆が主演を務めるオリジナル映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』が、2018年10月12日(金)に全国の劇場で公開される。
本作の原案・脚本・監督を手掛けるのは、「時効警察」シリーズなどで知られる三木聡。『俺俺』『インスタント沼』『転々』など、独自のコメディセンスを持つ監督が、現代社会に“歌”と“笑い”の力で風穴を開ける、ハイテンションロックコメディを作り上げる。
リミット迫る“声の争奪戦”が今、はじまる!!!爆音!爆上げ!ハイテンション・ロック・コメディ!!驚異の歌声をもつ世界的ロックスター・シン(阿部サダヲ)と、声が小さすぎるストリートミュージシャン・ふうか(吉岡里帆)。正反対の2人は偶然出会い、ふうかはシンの歌声が“声帯ドーピング”によるものという秘密を知ってしまう! しかもシンの喉は“声帯ドーピング”のやりすぎで崩壊寸前!やがて、シンの最後の歌声をめぐって、2人は謎の組織から追われるはめに。リミット迫る“声の争奪戦”が今、はじまる!!!
主演のシンを演じるのは、『舞妓Haaaan!!!』『謝罪の王様』『殿、利息でござる!』などに主演し、人気・実力を兼ね備えた個性派俳優・阿部サダヲ。紅白歌合戦出場も果たした人気バンド「グループ魂」のボーカル≪破壊≫も務める彼が、驚愕の歌唱力で一躍スターダムにのし上がったカリスマロックスターを演じる。
破滅的なロックスター・シンのキャラクターを創り上げるにあたり、製作サイドが参考にしたのは、その常軌を逸したパフォーマンスで世界中を驚かせてきたマリリン・マンソン。奇抜で衝撃的なメイク姿の阿部サダヲの姿は、本作の見どころの1つだろう。
ヒロイン・ふうか役には、「ゆとりですがなにか」、「カルテット」、「ごめん、愛してる」など続々とドラマに出演し、今最も注目を浴びている女優の一人・吉岡里帆。2019年には、『パラレルワールド・ラブストーリー』の公開も控えている。そんな彼女は、ストリートミュージシャンとして活動するも、声が異様に小さく歌声が聞こえないという弱点を持つ難役に挑む。
さらに本作で、映画・ドラマでは一度も披露した事のない歌声を初お披露目。撮影に向けて特訓中であるギター演奏とともに奏でられる彼女の歌声と、豪華アーティスト達の提供による映画オリジナル曲にも要注目だ。
本作で主演を演じた阿部サダヲと吉岡里帆にインタビューを実施。独自のセンスに溢れる三木監督との現場風景について触れながら、2人が演じたキャラクターの役作りなどについて話しを伺った。
ハイテンション・ロック・コメディというユーモア溢れるジャンルの作品ですが、三木監督の台本を初めてご覧になった際のご感想を率直に教えてください。
阿部:正直わけの分からないところが沢山ありました(笑)撮影前の立ち稽古の場で、初めて吉岡さんにお会いできた際、「やっぱり、この台本の内容分からないよね!」って、お互いにこの感情を共有できた時は妙にホッとしましたね(笑)
吉岡:私も、阿部さんが自分と同じ気持ちだと知った時は、素直に嬉しかったです(笑)これまで数々のコメディ作品をこなしてきた阿部さんは、てっきり台本を理解しつくしたうえで、立ち稽古に臨まれるんだろうなと思っていたので…。
実際に現場に入ってから、台本の“謎”は解消されたのでしょうか。
阿部:はい。三木監督が丁寧に説明してくれて、何から何まで全て計算し尽くされた台本なのだと気付かされました。この作品を観た人からは「あれはどこからアドリブなの?」とよく尋ねられる程、劇中には突拍子もない台詞が溢れかえっているのですが、それも全て三木監督が台本に事細かに書かれていること。僕たち俳優が、何か追加で足すような要素など何1つありませんでした。
吉岡:私は演技にはいることで、徐々に台本に描かれた意味や内容を自分の中に落とし込むことができました。三木監督が7年かけて構想したオリジナル脚本なので、その細部にまでかけた拘りも並々ではなくて。台詞の1つ1つにも、実は監督の愛やメッセージが詰め込まれていたりするんです。
例えばどんな台詞でしょうか?
吉岡:音楽の道を諦めようとしているふうかに対して、シンが「やらない理由ばっか見つけてんじゃねえ!」と言い放つ台詞。この言葉は、実は三木監督が、ご自身の娘さんに対して伝えたいメッセージでもあるらしくて。ロックな感じにも聞こえますけど、本当は愛情に満ち溢れた言葉なんです。“好きなことをやり抜いてほしい”というエールに、私も撮影中勇気づけられていました。
これまでの人生を振り返って、「やらない理由ばっか見つけてんじゃねえ!」という台詞が胸に突き刺さるようなご経験はありますか?
阿部:僕の場合は、高校時代の部活。野球部に所属していたのですが、どうしても素振りが嫌いで…。素振りをしない理由だけは、誰にも負けなかった。(笑) 「左打ちになるかもしれない」とかどうしようもない言い訳を考えて、いつも逃げていましたね。
それでも芝居に関していうと、何故かそういう“素振りをやめる理由”を探すようなことは不思議とない。どんな役でも、断ったことがないんです。役者を始めた時から、“僕芝居知ってますよ”みたいなテンションで乗り越えてきました。