アトウ(ato)は、2018-19年秋冬コレクションを発表した。
今季のテーマは、“ダサかっこいい”を意味する「ギーク・シック(Geek-chic)」。イメージソースは80年代のフランシス・コッポラ映画『アウトサイダー』のヤングアダルトに代表される、マット・ディロンなどの俳優達だ。当時のリアリティを映し出した隙のあるファッションを、現代の視点でとらえた時に感じる新鮮さをコレクションに落とし込んだ。
目に留まるのは、ベーシックなアイテムにアイキャッチなアクセントを加えたアイテム。ベージュのウールメルトンで仕立てたトレンチコートには、ヴィヴィッドなカラーのラインをプラスし、コートの持つオーセンティックな雰囲気に遊び心を与える。デニムパンツには脱色加工を施すことで、余韻を作り出していく。
カーキのウール地で仕立てられたブルゾンやジャケット、コートはミリタリーテイストならではの無骨さと、シルエットや色彩が織り成す上品さを両立させた。凛とした色彩の黄みがかったカーキが気品を演出する一方で、複数取り付けられた大きなポケットや首を囲うような襟のディテールが、粗野な印象を作り出し、相互に絶妙なバランス感で成り立っている。
ゴールド、シルバーのボタンやエンブレム、ボーダーなど、ユニフォームの要素も散見された。マリンボーダーのボートネックカットソーに合わせたのは、テーパードシルエットのウール地のパンツ。モチーフはベーシックだが、シルエットによって王道からあえて外した抜け感を演出。身体から適度にゆとりを持たせることで、ドレープを描きながら着る人各々の個性を引き出していく。
オーバーシルエットで仕立てたステンカラーのコートや、襟を大きく取ったドロップショルダーのコートも、袖を通した時に身体に自然に馴染むようなボリューム感が印象的。誇張ではない、そこはかとなく感じられる存在感が魅力だ。
持ち前のシックさにスポーティーなエッセンスを取り入れたのも今季ならではの特徴の一つ。機能素材を組み合わせたトップスや杢グレーのスウェットパーカーなどを端正なブラウスやジャケットスタイルにラフに組み合わせ、独自のハイブリッド感を生み出している。