アニメーション映画『エセルとアーネスト ふたりの物語』が、2019年9月28日(土)より東京・神保町の岩波ホールほかにて全国順次公開される。
原作は、『スノーマン』『風が吹くとき』などの名作で知られるイギリスの絵本作家、レイモンド・ブリッグズが自身の両親について描いた絵本『エセルとアーネスト』。激動の20世紀を生きた一組の平凡な夫婦の40年にわたる人生を描いた、心暖まる本当の物語だ。
1928年ロンドン。牛乳配達のアーネストとメイドだったエセルは恋に落ち、結婚し、ウィンブルドンに小さな家を構える。最愛の息子レイモンドの誕生と成長、第2次世界大戦中の苦難の日々にも、二人は寄り添い、笑いあうことを忘れない。戦後の経済発展が進む中、静かに忍び寄る老い・・・しかしいつもエセルの横にはアーネストがいた。激動の20世紀を生きた庶民の歴史を、暖かなまなざしで描いた感動の物語。
監督を務めたのは、癌のため2018年9月20日に65歳で惜しまれながらこの世を去ったロジャー・メインウッド。アニメーターとして映画『風が吹くとき』に参加したほか、『スノーマンとスノードック』を監督するなど、レイモンド・ブリッグズとの関係は深く『エセルとアーネスト』の映画化についても長年望んでいたという。
ブリッグズの温かみのある絵がそのまま動き出したかのようなアニメーションは、9年という歳月を費やし手描きで制作されたもので、エセルとアーネストの声は、『秘密と嘘』『つぐない』のブレンダ・ブレッシンと『アイリス』『パディントン』ジム・ブロードベントが担当。
原作者のブリッグズが「彼らの声が聞こえてくると、母と父が部屋にいるようでした」と語るように、イギリスを代表する2人の名優が、アニメーションのキャラクターに暖かみのある命を吹き込んだ。
成長した息子レイモンドは、『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』のルーク・トレッダウェイが演じている。
また、本作のエンディング曲「Blink of An Eye」を提供したのは、来日公演でも話題のレジェンド、ポール・マッカートニーだ。ポールはもともとブリッグズの大ファンであり、アルバム『McCartneyII』に収録された「Bogey Music」は、ブリッグズの『いたずらボギーのファンガスくん』に影響された楽曲である。
このエピソードを知ったメインウッドが、ブリッグズの許可を得て、ポールに「曲を書くことに興味がないか?」という手紙を出し、ポールがこれを快諾。こうして、貴重なオリジナル曲が映画に使用されることとなった。
2019年3月「東京アニメアワードフェスティバル2019」に、プロデューサー カミーラ・ディーキンが本作を引っ提げ来日。日本初上映会にて、いち早く作品を見た観客からは「まさにイギリス版『この世界の片隅に』!」「戦争の時代を乗り越えて老夫婦になるまで添い遂げたふたりの愛情に感動」という声が上がった。