映画『ジョン・ウィック:パラベラム』が、2019年10月4日(金)に全国の劇場で公開される。キアヌ・リーブス主演。
“殺し屋を始末する殺し屋”、“1本の鉛筆で3人を瞬殺”など、数々の伝説と共に暗黒社会を震撼させてきた最強の殺し屋ジョン・ウィックの復讐劇を描いた『ジョン・ウィック』シリーズ。
1作目『ジョン・ウィック』では、亡き妻の残した愛犬の命を奪ったロシアンマフィアを崩壊させ、2作目『ジョン・ウィック:チャプター2』では思い出の我が家を破壊したイタリアンマフィアを壊滅。その3作目となる『ジョン・ウィック:パラベラム』では、復讐の果てに裏社会の掟を破り“反逆の逃亡者”となったジョン・ウィックの更なる戦いが描かれる。
主人公ジョン・ウィック役を演じるのはもちろん、キアヌ・リーブス。傷だらけの逃亡者となってしまったパラベラムでも、シリーズの代名詞である、銃撃と体術を組み合わせたキレ味鋭いアクション“ガン・フー”を、スタイリッシュなスーツを身にまといながら、ほぼノースタントで披露する。
『ジョン・ウィック:チャプター2』で来日した際にインタビューで、「バイク×カンフーの組み合わせをギリギリまで挑戦したい」という監督に対して、キアヌは「バイクを練習しないと…。そうだチャド、馬とか?」と提案していたが、本当に馬とバイクの組み合わせが実現してしまった。
バイクに追われながら馬に乗って疾走するジョン・ウィックの街中チェイスがみどころの1つとなりそうだ。
そのほか、敵をバイクから引きずり落すバイ・フー、日本刀を使用したる刀(トウ)・フー、犬と息の合った連携で敵を圧倒すドッグ・フーなど、さらにスケールアップしたジョン・ウィックの必殺キルスキルが登場する。
本作で主演を務めるキアヌ・リーヴスと監督のチャド・スタエルスキにインタビューを実施。『マトリックス』からタッグを組んでいる2人に、アクション映画に対する取り組みやキャラクターの魅力、そして次回作のヒントなどについて話しを伺った。
■アクションの新時代を築いた『マトリックス』の現場を通して、『ジョン・ウィック』シリーズで活かされていると感じることはありますか?
チャド:もちろんです。『マトリックス』の現場で、僕はキアヌのスタントマンという立場でしたが、当時監督を務めていたウォシャウスキー姉妹からは多くの影響を受けています。2人はすごくスマートだし、クリエイティブな発想に溢れた人たちだったから、それは本当に素晴らしい経験になりました。そしてその後、僕が監督を務める『ジョン・ウィック』の映画化が決まった時、僕はキアヌと作品のアイディアを出し合ったのだけれど、その多くの要素は『マトリックス』からきていたんですよね。
キアヌ:アクションの振り付けや映画撮影技術はもちろんだけれど、特にアクションを通したストーリーテリングの要素なんかも『マトリックス』を手本にしているよね。
チャド:そうだね。“ストーリーを含ませるアクション”というのは、『ジョン・ウィック』シリーズの中で常に意識していることです。シリーズが進むごとに、キアヌのアクションを通じて“ジョン・ウィックとは、どんなキャラクターなのか?”ということを、より掘り下げて映し出しているんですよ。もちろん初期の段階から比べて、その手法はかなり変わりましたが、基本は全てウォシャウスキー姉妹から学んだことなのです。
■実際にそういったアクションは、カンフーや柔術、サンボ、射撃まで、多岐に渡ります。そういったアイディアは、具体的にどのようにして取り入れられているのでしょう?
チャド:僕たちは、毎回撮影前に壁一面ほどの大きさのあるイメージボードを用意していているんです。そしてそこに、自分たちの好きな映画や歌、俳優など、何かインスピレーションを得るような写真を張り付けていく。これがアイディアを思い浮かべたり、映画の中にまとめていく上で、非常に役に立つのです。
例えば2作目で、ジョン・ウィックが愛車のマスタングに乗ったカーアクションは、スティーブ・マックイーン主演の映画『ブリット』(※)からインスピレーションを得たものですし、今回は僕たち2人も西部劇ファンという事もあって、馬を使用したアクションシーンが実現しています。
キアヌ:それから僕たちは、アジアのアクションスターからも、演技のインスピレーションを得ているよね。例えばチャドは映画『死亡遊戯』でのブルー・スリーの演技に刺激を受けてカンフーシーンを取り入れているし、僕自身はロングテイク(※)で、次から次にアクションを変えていくジャッキー・チェーンからも凄くインスパイアされています。
チャド:そうだね。今回でいうと、刀を使う侍のようなシーンは、黒澤明監督作『七人の侍』に出てくる三船敏郎の刀裁きを意識しました。日本映画や香港映画といったアジア作品は特に、全体のテーマ自体も含めて僕らにインスピレーションを与えてくれるものなのです。
そしてもちろん、それらの作品を全て真似るのでなく、僕らなりの“フレーバー”をかけているのも楽しんでほしいところ。銃を使ったガン・フ―や、犬が登場するドッグ・フーといったアクションは、まだそういったアジア作品の武術シーンでもやったことがないはずですからね。願わくば、『ジョン・ウィック』が、ジャッキー・チェーンをインスパイアできると大変嬉しいです(笑)