大友克洋の漫画作品『AKIRA』の新アニメーションの製作が決定。2019年7月5日(金)、アメリカ・ロサンゼルスで開催されているアニメカルチャーの祭典「Anime Expo 2019」にて、原作者の大友克洋と、講談社による新プロジェクトとして発表された。
1982年から1990年にかけて『週刊ヤングマガジン』に連載された『AKIRA』は、大友克洋による漫画作品。新型爆弾によって消滅した東京に変わる日本の新首都として繁栄を極めた「ネオ東京」を舞台に、暴走族のリーダーで自称“健康優良不良少年”の主人公・金田と、事故をきっかけに目覚めた超能力で破壊の限りを尽くすもう一人の主人公・鉄雄、そして物語の核となる超能力者の少年・アキラを中心に巻き起こる、壮大な物語が描かれている。
新型爆弾の使用をきっかけに引き起こされた第三次世界大戦によって荒廃した世界。新たに建国され超高層ビルが乱立する「ネオ東京」で起きる少年たちのリアルな衝突と、世界を危機に陥れる超常的な現象。リアルと空想を高次元でミックスしたその壮大な物語を余すことなく表現する、大友の驚異的に緻密なタッチにも目が離せない、SF漫画の金字塔だ。
これを原作に大友が自ら監督したのが、1988年に日本公開された同名のアニメーション映画『AKIRA』。当時未だ原作が完結していなかったため、原作における3巻前後までの展開の後、映画独自の結末が待っている。当時の日本映画としては異例の巨額が投じられた同作は、大友自らが描いた絵コンテをベースに、原作の世界観を表現するための様々なこだわりが詰め込まれており、公開から30年が経った今でも多くのファンを持つ名作アニメーションとして知られている。
そんな『AKIRA』の新アニメーションプロジェクトだが、2019年7月5日(金)現在、気になる詳細は未だ明らかになっていない。ただし「Anime Expo 2019」での製作発表によると、原作漫画の1〜6巻に準拠したストーリー展開になるという。前述の通りアニメ版『AKIRA』の公開当時は原作が連載中だったため、その結末は多くの共通項がありながらも異なるものとなっていた。新アニメーションは、旧アニメーションで描かれなかった部分も補完する“完全版”的な立ち位置となりそうだ。
奇しくも原作の舞台は2019年で、物語の中でも翌2020年に東京オリンピックが予定されていた。現実世界の2019年でも東京オリンピックの開催に湧く日本に届けられた、新たな『AKIRA』製作の報せ。今後の続報にも注目していきたい。