映画『るろうに剣心 最終章 The Final』クライマックスの撮影シーンに、ファッションプレスが潜入。映画公開に先駆け、撮影現場の舞台裏レポートをお届けする。

映画『るろうに剣心』最終章へ

映画『るろうに剣心』は、コミック「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」を、大友啓史監督が映画作品として昇華させた人気シリーズ。幕末から明治にかけての激動の時代を舞台に、かつては“人斬り抜刀斎”として恐れられた主人公・緋村剣心の活躍を描いたヒット作品だ。

2021年4月23日(金)公開となる『るろうに剣心 最終章 The Final』は、そんな映画シリーズの最終章に当たる作品で、原作の＜人誅編＞をベースにした物語。時は明治時代、斬れない刀＝逆刃刀”さかばとう”を持ち穏やかな生活を送っていた剣心と、剣心の十字傷の謎を知るシリーズ史上最恐の敵・雪代縁との壮絶なバトルを描き出す。

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義理兄弟である剣心×縁

実はこの剣心と縁は、＜義理の兄弟＞というドラマティックな関係性。剣心がかつて自分の手で惨殺した妻・巴の弟に当たる人物が縁であり、縁は最愛の姉の敵をとるため、剣心への復讐を目論んでいる。

今回ファッションプレスが潜入した撮影現場は、まさにこの剣心と縁が死闘をくり広げるクライマックスシーン。圧巻のアクションシーンは一体どのように制作されているのか？大友監督のインタビューを交えながら、一部始終を覗いてみよう。

撮影現場レポート

‟るろ剣”の世界へ

撮影現場となった都内・東宝スタジオに一歩足を踏み入れると、タイムスリップしてしまったかのような‟異次元の空間”が広がっていた。『るろ剣』シリーズではお馴染みの神谷道場に、幕末～明治期初期を思わせる昔ながらの家屋。作品ファンなら、思わず歓声を上げてしまいそうなほど、その緻密なセットは、あたかも‟外”に建設されているように、土に草木までもが生い茂っているこだわりようだ。

そしてスタジオの一角に佇む四阿(あずまや)が、今回剣心×縁の壮絶バトルがくり広げることになる舞台。上海マフィアの頭目まで上り詰めた縁の、日本の拠点となるこの場所は、中国美術を取り入れた、ひと際オリエンタルなムードに包まれている。

‟感情が見える”アクションシーン

まず報道陣の前に現れたのは、縁役となる新田真剣佑だ。後方でひとりアクションシーン撮影直前、入念な準備を行い、続く主演・佐藤健と撮影セットで合流する。

ふたりが立つ六角堂に用意されたのは、天井から垂れ下る複数のワイヤー。ふたりの身体にきつく設置されたそれは、大の大人たちが数人がかりで引っ張ることで、身体が浮き上がり、ふたりがそれに合わせて空中で身体を動かすことで、剣心と縁の感情がぶつかりあう臨場感たっぷりのシーンを撮影できる。

“濃密な感情を表現したい”

3DやVFXの全盛期ともいえる現代で、こうしたアナログチックな仕掛けをあえて選んだのは、「‟感情の見えるアクション”を撮りたい」と語る大友監督のこだわりからだ。

「剣を合わせて初めて分かる想いがあるのが、『るろうに剣心』の面白さだと思う。縁を通して、剣心は自分の心が鏡のように見えていると思うし、縁もそう。だから生身の人間を使ったリアルなアクションで、濃密な感情を表現でしたいのです。」(大友監督のその言葉通り、スタントマンは用意されているものの、実際の演技は全て二人だけで行われている。)

遠慮のないバトルシーン

そんな大友監督が信頼をおいているのは、同シリーズ全てのアクションを監修してきたアクション監督・谷垣健治。アクション映画の最前線・香港でキャリアを詰んだ彼の演出によって、‟遠慮のない”より完成度の高いバトルシーンへと近づけていくのだ。