企画展「生誕110年 香月泰男展」が、神奈川県立近代美術館 葉山にて、2021年9月18日(土)から11月14日(日)まで開催される。
太平洋戦争とシベリア抑留の体験を描いた「シベリア・シリーズ」を手がけ、戦後を代表する洋画家のひとりとして知られる、香月泰男(かづき やすお)。1911年に山口で生まれた香月は、東京美術学校で学び、澄んだ色彩と独特の叙情性をもつ絵画が注目された矢先、召集を受けて満州へ従軍する。敗戦後にはシベリア抑留に遭い、過酷な環境を生き延びて1947年に復員した。
復員後の香月は、故郷に留まり、戦争と抑留の体験に基づいて「シベリア・シリーズ」に取り組む。《復員〈タラップ〉》や《青の太陽》、《日本海》など、黒と黄褐色を中心に重厚な画面で構成されるこれらの作品には、極限状態の苦痛、 鎮魂と望郷の思い、そして厳しくも鮮やかな自然の美しさが表現されている。
香月の大回顧展となる企画展「生誕110年 香月泰男展」では、「シベリア・シリーズ」全57点とともに、初期から晩年までの代表作や素描などあわせて146点を展示し、香月の画業の全貌を紹介する。
本展では、「シベリア・シリーズ」全57点を一挙公開。同シリーズは、一般的には香月の体験順に沿って紹介されるものの、制作の順序はそれとは異なる。本展では、この「シベリア・シリーズ」の物語を解体し、同時期に制作されたほかの作品とあわせて展覧することで、シリーズの位置付けを再検証する。
暗く重い画風の「シベリア・シリーズ」を制作する一方、1940年代までの香月は、澄んだ色彩とノスタルジックな雰囲気の絵画を手がけていた。また、1950年代には、身近な野菜や魚などを描いて「台所の画家」とも呼ばれた。本展では、《水鏡》や《洗濯》、《公園雪》など、香月が初期から晩年に至るまで手がけた作品を年代順に展示し、作風の変遷、そして「シベリアの画家」にとどまらない魅力を紹介する。
企画展「生誕110年 香月泰男展」
会期:2021年9月18日(土)〜11月14日(日)
会場:神奈川県立近代美術館 葉山 展示室1〜3
住所:神奈川県三浦郡葉山町一色2208-1
開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(最新情報は美術館ウェブサイトを参照)
観覧料:一般 1,000円、20歳未満・学生 850円、65歳以上 500円、高校生 100円
※中学生以下と障害者手帳などをの所持者(および介助者原則1名)は無料
※「生誕110年 香月泰男展」の観覧券で、同日に限りコレクション展「内なる風景」を観覧可
※ファミリー・コミュニケーションの日(毎月第1日曜日:10月3日、11月7日)は、18歳未満の子ども連れの家族は割引料金(65歳以上のぞく)で観覧可
※そのほかの割引については問い合わせのこと
※内容は変更となる場合あり(最新情報などについては美術館ウェブサイトを確認のこと)
■巡回情報
・新潟市美術館
会期:2021年11月27日(土)〜2022年1月23日(日)
住所:新潟県新潟市中央区西大畑町5191-9
・練馬区立美術館
会期:2022年2月6日(日)~3月27日(日)
住所:東京都練馬区貫井1-36-16
・足利市立美術館
会期:2022年4月5日(火)~5月29日(日)
住所:栃木県足利市通2-14-7
■終了した会場
・宮城県美術館
会期:2021年7月3日(土)〜9月5日(日)
住所:宮城県仙台市青葉区川内元支倉34-1
【問い合わせ先】
神奈川県立近代美術館 葉山
TEL:046-875-2800 (代表)