特別展「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」が、国立科学博物館にて2021年10月14日(木)から2022年1月12日(水)まで日時指定予約制にて開催される。その後、2022年2月5日(土)から神戸にも巡回する。

大英博物館から“6体のミイラ”が来日

特別展「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」は、“人類の文化遺産の殿堂”として知られるイギリスの大英博物館が誇る世界最大級の古代エジプト・コレクションより、6体のミイラを含む約250点の文物を展示する展覧会。古代エジプト文明の研究でも世界を牽引してきた大英博物館の研究成果を紹介する。

CTスキャンによってミイラの謎を解明

注目は、選りすぐった6体のミイラのCTスキャンを用いた画像解析だ。王家の葬祭儀式を担う役人、代々続く名家の神官、既婚女性、幼い子ども、グレコ・ローマン時代の若い男性といった、様々な年齢、性別、社会的立場、時代のミイラを解析。CTデータをもとにした解説映像や、それぞれのミイラに関連する展示物を交えつつ、古代エジプト人の生活や健康状態、病歴、そして信仰、葬儀儀式、日常の慣習についての詳細など、外側からはうかがい知れないミイラの謎を解明していく。

例えば、北部ハワラの墓地遺跡から発掘された子どものミイラは、丁寧に幾層もの布で巻かれており、頭部の布には大きな目の幼い男の子の肖像画が描かれていることから、彼が裕福な家庭の一員だったことがわかる。古代エジプトでは子どもの遺体がミイラにされることはほとんどなかったが、ギリシャとローマの支配者がエジプトを統治したグレコ・ローマン時代(前332～後395年)になると、その習慣は増加したとみられ、ハワラからは多くの例が発掘された。

信仰や日々の暮らしを表す副葬品

また、古代エジプトの信仰や死生観、そして日々の暮らしの痕跡を見て取ることのできる副葬品や装飾品などにも注目。防腐処置を施した内臓をミイラ作りの過程で収める「カノポス壺」は、“肝臓や肺、胃、腸といった内臓はそれぞれ人物全体を体現している”という古代エジプトにおける考え方を伺い知ることのできる出土品だ。

神話の一場面を表現した「ホルス神に授乳するイシス女神像」や、死者の墓への旅、そして象徴的な意味では来世への旅を表す「葬祭用の船の模型」など、立体像も副葬品として出土している。猫の姿で表され、崇拝されていたバステト女神を象徴する「猫の青銅製像」には、元々猫のミイラが入れられていた可能性があるとされている。

さらに、現代のおもちゃにも相通じる車輪がついた馬の玩具や、複数段のビーズを連ねた襟飾り、繊細な装飾を施した弓形ハープといった当時の装いや音楽の痕跡を辿る史料も登場。死者へ備えるために焼かれたと考えられる円形のパンや、デルタ産のワインが入っていたことが記されたワイン壺の副葬品、神官が神々に供物を捧げる様子を描いた碑「ケフのステラ」などからは、食に関する習慣や価値観を見て取ることができる。

日本人による遺跡発掘の最前線＆猫のミイラも紹介

加えて、日本独自の展示として、エジプト・サッカラ遺跡で進行中の日本エジプト合同調査隊による発掘現場の最前線も紹介。2019年にサッカラ遺跡で発見したローマ支配時代(後1～後2世紀)の地下集団墓地・カタコンベの内部の様子を、実寸大の部分模型で再現する。

また、1922年に発見されたばかりのツタンカーメン王墓を日本人として初めて訪問したことでも知られる阿波・徳島藩の18代当主、蜂須賀正氏がエジプトで入手した“猫のミイラ”も登場。CTスキャン画像をもとに作成した映像とともに紹介する。

【詳細】
特別展「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」
会期：2021年10月14日(木)～2022年1月12日(水)〈日時指定予約制〉
※会期等は変更になる場合あり。
会場：国立科学博物館(東京・上野公園)
住所：東京都台東区上野公園7-20
開館時間：9:00～17:00(入場は16:30まで)
休館日：月曜日、12月28日(火)～1月1日(土・祝)
※ただし12月27日(月)、1月3日(月)・10日(月・祝)は開館。
問い合わせ先TEL：050-5541-8600(ハローダイヤル)
入場料：一般・大学生 2,100円、小・中・高校生 600円
※未就学児は無料。障害者手帳持参者とその介護者1名は無料。
■チケット販売・日時指定予約 詳細
受付開始日：2021年10月1日(金) 10:00～ ※公式サイトにて受付。
※全ての来場者は、公式チケットサイトから日時指定予約が必要。予約日時の1時間前まで、最大3階日時の変更が可能。
※時間ごとに定員を設けての入場となる。
※本展を観覧した人は、同日に限り常設展(地球館・日本館)も観覧可能。ただし、日時指定日の指定時刻の前に常設展を観覧することは不可。
※チケットの券種変更・払い戻し・再発行・再入場は不可。
※会場内の混雑等により、入場待ちとなる場合あり。
※オンラインでの購入が難しい人を対象に、各時間帯あたり若干数の当日の入場枠を設け、国立科学博物館特別展券売所にて当日券を販売。入場可能な直近の時間枠にて案内。ただし、来場時に予定枚数が終了している場合あり。

■巡回情報
・神戸展
会期：2022年2月5日(土)～5月8日(日)
会場：神戸市立博物館
住所：兵庫県神戸市中央区京町24番地