展覧会「山城知佳子 リフレーミング」が、東京都写真美術館にて、2021年8月17日(火)から10月10日(日)まで開催される。
映像と写真を中心に、2000年代から作家活動を展開してきた山城知佳子。生まれ育った沖縄の歴史と自身の関係に向き合うことで、それまで捉え損ねられてきた声や肉体、魂をすくい上げるその作品は、国内外で高く評価されている。他方で山城の映像は、鑑賞者の身体感覚に訴えかけるイメージの豊かさ、そして同時代に対する批評眼をあわせ持ち、沖縄という特定の地域の問題にとどまらない解釈にも開かれている。
展覧会「山城知佳子 リフレーミング」は、公立美術館では初となる山城の大規模個展だ。初公開となる山城の最新作《リフレーミング》を、《土の人》といった過去の代表作と組み合わせて紹介することで、相互に共鳴しあう主題やモチーフの連関に光をあてる。
本展では、最新作《リフレーミング》を初公開。本作は、沖縄の風景と現実を俯瞰的な視点から見つめ、取り組んできた近年のリサーチの最新成果である。ダムタイプにも参加していた川口隆夫や、近年はアートと社会を繋ぐ活動を展開する砂連尾理、沖縄出身でモデル・映画俳優として活躍する尚玄らが出演し、史実を踏まえつつ沖縄の海と山とをつなぐ寓話を紡ぎだしてゆく。
一方、山城が長年取り組んできたのが、「記憶/声の継承」というテーマだ。会場では、絞り出すように自身の痛切な戦争体験を伝える他者の語りを、執拗に自らの声でなぞる《あなたの声は私の喉を通った》や、この主題の集大成となる《土の人》などを展示する。
山城が描きだすイメージは、風景を擬人化することで、しばしば寓話的な趣を呈する。たとえば、架空の存在をモチーフとする映像作品《アーサ女》では、海藻のように水面を浮き沈みしつつ漂うカメラから海岸線を捉えることで、人でないものが分断に揺らめく岸辺を見つめる構図が生み出されている。また、鍾乳石のイメージをあたかも人体や異形の生きもののように提示する写真シリーズ「黙認のからだ」全13点も展示する。
最新作のタイトルでもある「リフレーミング」とは、ものごとを見る枠組みを変え、異なる枠組みで見直すことを指す。それは、写真や映像によって、故郷である沖縄の風景を新たな視点で捉え直してゆくという、山城作品に通底する姿勢を象徴するものだ。本展では、初期作から最新作までの主要作品をひとつの作品のように配置することで、それぞれの作品が互いに連関しあう、山城作品の全体像を体感することができる。
展覧会「山城知佳子 リフレーミング」
会期:2021年8月17日(火)〜10月10日(日)
会場:東京都写真美術館 地下1階展示室
住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
開館時間:10:00〜18:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館)
観覧料:一般 700円、大学・専門学校生 560円、中高生・65歳以上 350円
※小学生以下および都内在住・在学の中学生、障害者手帳の所持者と介護者(2名まで) は無料
※オンラインによる事前予約が可能(詳細は美術館ホームページを参照)
※内容は変更となる場合あり(最新情報は美術館ホームページを確認のこと)
【問い合わせ先】
東京都写真美術館
TEL:03-3280-0099