フワンソワ・オゾンの初期代表作『焼け石に水』が、東京・渋谷のBunkamura ル・シネマにて35ミリフィルムで特別リバイバル上映される。期間は、2021年8月20日(金)から8月26日(木)まで。
フランソワ・オゾンの最新作『Summer of 85』の公開にあわせてリバイバル上映が決定した『焼け石に水』は、弱冠32歳だったフランソワ・オゾンが、第50回目の節目の年となった2000年のベルリン国際映画祭のコンペティション部門で発表し、テディ賞長編映画部門大賞を受賞した作品。
長編デビュー作『ホームドラマ』(1998年カンヌ国際映画祭批評家週間正式出品)と長編第2作『クリミナル・ラヴァーズ』(1999年ヴェネチア国際映画祭正式出品)で立て続けに才気走った作品を世に送り出し、フランス映画界で注目を浴び始めていたオゾンの国際的評価は、長編3作目となる本作のテディ賞受賞で一層高まった。
『焼け石に水』は、オゾンのオリジナル脚本ではなく、37歳で急逝したドイツの伝説的な映画・演劇人ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーが19歳で書いた未発表の戯曲を映画化したもの。ファスビンダーの原作を使ったのは、カップルの生活を描いてみたかったオゾンの描きたかったことが正確に語られていたからだったという。2人の人間が一緒に暮らし、日常の荒波にまみれるところから次第に変質し失墜していく関係性。どこか可笑しくも、胸を打つカップルの苦悩。ストーリーは、4幕構成で、1970年代のドイツのアパートの1室を舞台に繰り広げられる。
キャスティングも絶妙で、中年ビジネスマン、レオポルドを演じるのは、『ヘカテ』(1982)の外交官役や『リディキュール』(1995)の悪役が印象深いベルナール・ジロドー。
レオポルドの虜になる若者フランツ役はマリック・ジディ、フランツのガールフレンド アナ役は『8人の女たち』(2002)や『スイミング・プール』(2003)など、その後のオゾン代表作にも出演しているリュディヴィーヌ・サニエ、レオポルドの元恋人ヴェラ役は主演映画『ファストフード・ファストウーマン』(2000)で知られるアンナ・トムソンが演じている。
『焼け石に水』の公開から20年、8月20日(金)に公開予定の『Summer of 85』は、オゾンが17歳の時に出会い深く影響を受けたエイダン・チェンバーズの小説「おれの墓で踊れ」を映画化した作品。瑞々しさと疾走感に満ちた、少年たちのひと夏の恋物語を描いている。
【詳細】
『Summer of 85』公開&日本公開20周年記念 特別上映『焼け石に水』
上映期間:2021年8月20日(金)~8月26日(木) 17:20~(終)19:05
会場:Bunkamura ル・シネマ
住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura 6F
TEL:03-3477-9264
料金:1,300均一(『Summer of 85』のチケット提示で1,100円)
※特別興行のため、その他各種割引は適用外
※提示のチケットは半券・特別鑑賞券・QRチケットも可
2000年/フランス/86分/35mm/原題:Gouttes D'eau Sur Pierres Brûlantes
監督:フランソワ・オゾン
出演:ベルナール・ジロドー、マリック・ジディ、リュディヴィーヌ・サニエ、アンナ・トムソン
配給:ユーロスペース
■ストーリー
70年代、ドイツ。20歳の青年フランツは、街で中年のビジネスマン、レオポルドに声を掛けられ彼の家を訪ねる。レオの不思議な魅力にとらわれ、同棲まで始めるが、そこに二人のそれぞれの昔の恋人が現れる。
写真提供:ユーロスペース