シンヤコヅカ(SHINYAKOZUKA)の2022年春夏コレクションが2021年8月31日(火)に東京・品川のWHAT CAFEで発表された。
デザイナーの小塚信哉は、とある日曜の晩に自宅で、とある名作映画を15年ぶりに観た。久しぶりに観たその映画はとても面白く、良い夜を過ごせたという。その時に小塚が思ったのは、「デザイナーという職業はこの映画をモチーフやテーマにするのではなく、この映画で観て得た小さな感動やきっかけを最大限に誇張する事をテーマにするべきだ」ということ。
今季のコレクションを手掛けるにあたり、最初のインスピレーション源となったのは“青いインク漏れ”。インク漏れが海のように広く染み渡っていくように、<小さなきっかけ>をできるだけ誇張したいと考え、“青いインク漏れ”から万年筆やボールペンを連想させた。
さらに、「線」のツールとして捉えた万年筆やボールペンから、作品や手紙を完成させるために行う“下書き”をイメージした。作品であればより美しく、手紙であればより気持ちが伝わるために行う“下書き”は、とても素敵なものであると気付いたという。そんな視点から今季のコレクションタイトルは、「SWEET ROUGH DRAFT(素敵な下書き)」と名付けた。
まず目を引くのは、はっとさせるほど鮮やかなブルー。ジャケットやセーター、ワンピースなどには、“下書き”のようなクラフト感溢れる青いペイントをオン。フロントポケット付きのニットや光沢感のあるスカーフには、様々な色調の青で儚げな鳥を描いた。
また、透け感のある素材やざっくりとしたニットのアウターを合わせることで、インナーの柄を見せるようなスタイリングも散見された。シースルー素材のジャケットには、ストライプ柄のシャツワンピースを忍ばせて。網目の粗いニットカーディガンは、格子柄のニットベストやストライプシャツと一緒に提案した。いずれも、複数の線が重なり合う“下書き”のような奥行きのあるルックスに仕上がっているのが印象的だ。
今季は、ユーロワークスタイルからファッション観を培ったというシンヤコヅカらしく、ワークジャケットやワークパンツ、ジャンプスーツなどのワークウェアも豊富なラインナップで登場。コーデュロイで仕上げたマルチカラーのジャケットやホワイトのラインでアクセントを加えたパンツなどがリラクシングなオーバーサイズで展開された。