兵庫の芦屋市立美術博物館では、開館30周年記念 特別展「限らない世界 / 村上三郎」を、2021年12月4日(土)から2022年2月6日(日)まで開催する。
村上三郎は、1954年に発足した前衛美術団体・具体美術協会(「具体」)の中心メンバーとして知られる。1955年の第1回具体美術展で、ハトロン紙を体当たりで突き破る作品、通称「紙破り」を発表し、これ以降、同作は村上の代名詞となった。1950年代から60年代にかけてはパフォーマンス的要素をもつ作品に加えて、強烈なストロークで描かれた大型の絵画作品などを手がけ、平面作品での表現を追い求めた。
村上は「具体」の一員として語られることが多いが、1996年に芦屋市立美術博物館で開催された村上三郎展では、「具体」という枠組みを解体して村上の創作活動の世界に迫った。同展から25年を迎える年に開催される特別展「限らない世界 / 村上三郎」では、作品約50点、資料約100点から、約50年にわたる村上の活動を多角的に紹介する。
初期の村上は、新制作協会展で人物画や風景画を出品していたが、次第に抽象表現へと移行していった。そこには、同会の若手作家らによる「ジャン会」や、新鋭な美術を志向した若手作家グループ「0会」での活動によるところが大きい。
本展では、「具体」時代の代表作や1970年代の個展出品作とともに、これまで紹介される機会が少なかった新制作協会時代の作品を一挙公開。「具体」参加以前の作品である《自画像》(1950前半)や《危険なる均衡》(1954)のほか、第9回具体美術展に出品されてから所在不明であった《作品》(1960)、描くモチーフが大きく変化した1964年の具体美術新作展出品作《作品》(1964)など、発表以降、国内の美術館では初の展示となる作品も多数展示する。
加えて、1956年7月、芦屋公園での野外具体美術展に出品した《空》(1956/1993)を屋外で展示し、日時限定で当時の鑑賞方法を再現する予定だ。
また、会場では、〈紙破り〉の資料展示とともに、未発表の作品制作のためのメモや関係資料、記録写真や映像資料なども展示。さらに、村上が1950年頃から生涯にわたって携わった、児童を対象とした美術教育の活動も取り上げ、自由で新鮮な創作活動を続けてきた村上の発想の源泉にも光をあてる。
開館30周年記念 特別展「限らない世界 / 村上三郎」
会期:2021年12月4日(土)〜2022年2月6日(日)
会場:芦屋市立美術博物館
住所:兵庫県芦屋市伊勢町12-25
開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(1月10日(月・祝)は開館)、1月11日(火)、年末年始(12月28日(火)〜1月4日(火))
観覧料:一般 800円(640円)、大高生 500円(400円)、中学生以下 無料
※( )内は20名以上の団体料金
※高齢者(65歳以上)、身体障がい者手帳・精神障がい者保健福祉手帳・療育手帳の所持者およびその介護者は各当日料金の半額
※同時開催「昔のくらし」展の観覧料含む
※無料観覧日:2022年1月15日(土・関西文化の日プラス)
【問い合わせ先】
芦屋市立美術博物館
TEL:0797-38-5432